映画感想「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」信念と脚本という武器を持つ戦士

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「ローマの休日」(1954年公開)を観たことある人は多いと思うけど、それを作った人のことは意外に知られていないですよね。私もこの映画を観るまで何も知りませんでした。

厳しい時代と闘いながら、脚本を書き続ける名脚本家の自伝映画です。

冷戦や赤狩りといった政治的な要素が含まれますが、エンターテイメントのように描かれているので、ストーリーはとても分かりやすいです。どんな人にもおすすめできますね。

【評価】
逆転劇   :★★★★☆
メッセージ性:★★★★★
男の教科書 :★★★★☆

作品情報

キャスト&スタッフ etc.

出演:
ブライアン・クライストン
ダイアン・レイン

監督:ジェイ・ローチ
脚本:ジョン・マクナマラ
製作国:アメリカ
上映時間:124分
公開:2016年(日本)
原題:『Trumbo』

あらすじ

「ローマの休日」など数々の名作を生んだ希代の脚本家ダルトン・トランボの波乱万丈な人生を、テレビシリーズ「ブレイキング・バッド」で知られるブライアン・クランストン主演で描いた伝記ドラマ。脚本家トランボはハリウッド黄金期に第一線で活躍していたが、冷戦の影響による赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒んだために投獄されてしまう。釈放された後もハリウッドでの居場所を失ったトランボは、偽名を使用して「ローマの休日」などの名作を世に送りだし、アカデミー賞を2度も受賞する。逆境に立たされながらも信念を持って生きたトランボの映画への熱い思いと、そんな彼を支え続けた家族や映画関係者らの真実を描き出す。

引用:映画ドットコム

予告編

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感想(ネタバレなしのつもり)

この男、共産主義者

共産主義者というと「ソビエト連邦」「中華人民共和国」というイメージが湧きますが(実際そうです)、当時のアメリカ国内にも共産主義を支持する人たちがいました。

アメリカ政府は、一部の共産主義者による諜報活動や、ドイツの東西分断、朝鮮戦争などの世界情勢の緊張の高まりによって、共産主義者を排除する動き(赤狩り)を強めていました。

共産主義者には政府関係者や公務員、映画関係者なども含まれており、本作の「トランボ」もその一人です。

私は歴史の知識がかなり浅いので「共産主義者=ちょっと危ない?」のようなイメージを持っていました。

しかし、本作で登場する共産主義者(共産党員)は、トランボを含め”ただの”共産党員なのです。別にテロリストでも敵国の諜報員でもないです。

そのような無実のアメリカ国民が、母国アメリカによってブラックリストに載せられ、迫害を受け刑務所に入れられます。

トランボも例外ではなく、ハリウッドから追放され刑務所に。
(ハリウッドから嫌われた、とは言えない気がします。)

序盤で、トランボが自分の娘(小学生くらい)に「共産主義者ってなぁに?」と聞かれ、優しく回答しているシーンはほっこりしますね。

この男、不屈のメンタルの持ち主

あまりトランボのすごさを書きすぎるとネタバレになってしまいますが、彼のメンタルは最強です。

赤狩りによって家族から引き離され刑務所に何年も入れられた後、ハリウッドでの仕事を得ることはできません。無職です。

しかし彼には「停止」という動作モードが存在しません。常に動きます。

彼はブラックリストに載っている「トランボ」という名前で仕事をすることができないため、偽名を使い映画の脚本を書き始めるのです。

その一環で書かれたのが、あの有名なオードリー・ヘップバーン映画の「ローマの休日」です。

政府に刑務所に入れられ、出所後も迫害を受けている状況で、よくそんな名作を作れるものです。しかもラブストーリー。

私はこの映画を観た後、「ローマの休日」の印象が少し変わりました。

アン王女が城から逃げ出すのは、トランボと同じように「自由」を求めているからですね。彼は自分の代わりにアン王女を使って「自由」をアメリカに訴えたのではないでしょうか。

どんなときも、自由を求めるという信念と、脚本という自分の武器を常に磨いている、最強の老兵に見えました。

この男、家族と仕事、どっちも大事

トランボは脚本という使命のため、ふろ場でも仕事をしています。最近定時で帰っている自分が恥ずかしいです。

彼は「自由」を求めながらも、家族の生活を支えていくことにも本気です。み、見習わなければ!

しかし、それが行き過ぎるときもあり子供や妻に嫌な想いをさせることもありました。

娘の誕生日に「そんなもんはどうでもいい!邪魔をするな!」と言ったら、今の日本では家から追い出されそうです。

ダイアン・レインが演じる妻は、暴走気味のトランボに絶妙な忠告をします。いい妻です。この妻じゃなければトランボは扱えません。

トランボが偽名で脚本を書いた映画がアカデミー賞を取ったとき、家族全員でテレビの前で喜んでいるシーンは印象的です。いい家族です。

退屈しない人生のために

いつの時代もいじめや迫害や差別などが絶えませんね。

本作は、その社会全体の風向きを変えるくらいの才能と行動力を持ったヒーローの映画です。

最後のトランボの演説は必見です!

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