こんばんは、慧です。
レンズ付きフィルムでの撮影の気軽さにハマっています。
露出もピントも意識せず思いついたままシャッターを押すという動作は、スマホでカメラアプリを立ち上げボタンを押すのと似ていて、非常に単純。
2000年台初頭には富士フイルム以外にもコニカミノルタが「写ルンです」の類似商品を販売していて、今回はそのうちの一つ「撮りっきりMini NEOps 800」の作例を紹介したいと思います。
今は無き「撮りっきり」
まだコニカとミノルタが別の会社だったころ、「撮りっきりコニカ」というレンズ付きフィルムが存在していました。
その後、2003年に2社は経営統合してコニカミノルタになり、「撮りっきりMini」とか「撮りっきり もっとMini」のように商品名から「コニカ」が静かに消えました。
「写ルンです」に対抗して小型化を売りにしていたと推測できますね。
そして2006年にはコニカミノルタが写真関連の事業から撤退し、大日本印刷(DNP)が事業を継承していきます。
しかし、その2,3年後に「撮りっきり」シリーズを含むフィルム事業は完全に消滅。
2022年現在、入手できる「撮りっきり」シリーズは最低でも12年の期限切れとなっています。
ざっくりとネット上に転がっている事業のプレスリリースや商品開発のニュース等を引用してみました。
これ以上書くとただのコピペになってしまうので、ここで昔話はおしまいです。
今回撮影に使った「撮りっきりMini」は、見事15年の期限切れ品です。
ISO感度が800のフィルムを搭載していて、劣化具合は相当酷いものだと予想していました。
なお、フィルムの中身は「Centuria ズームスーパー800」という銘柄のようです。
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作例:スキャン困難だが・・
いつものカメラ屋さんに現像をお願いしたところ、現像後のネガの色が濃く、コマ間の場所が分かりにくかったとのこと。
結果、ネガは未カットのロール状で受け取りました。(いつも期限切れフィルムですいません)
確かにこれまで見てきたネガに比べると色が濃く、後ろから強い光を当てないとコマ間が分かりません。
よってデータ化、印刷の際のスキャンが難しくなるようです。
そのせいもあってか、今回の作例にはハイライト部分を中心に光の滲んだような跡が見られます。
期限切れフィルムにはこういうデメリットもあり得るということを知った1本となりました。
今回の作例は、前半では「撮りっきりMini」で撮影したもの、後半ではMamiya35 Rubyにフィルムを入れ替えて撮影したものを紹介しています。
ひとつのフィルムを使いまわしているので、レンズの差も如実にわかりますね。
「撮りっきり」では色被りの兆候あり
まずはそのまま「撮りっきりMini」で撮影した作例を。
1枚目は、青い公園。
大抵、赤黄青の3色で塗装されていることが多いですが、この公園は青一色。
塗装のメンテが楽そうだけど、子供からすると飽きられそうです。
曇っていたので、全体的に薄暗く感じます。
ISO感度800と言えど、15年も期限が切れていると光量が足りない。
2枚目は、晴天時の川。
水面に写る青空を撮ろうと思いました。
やはり暗めですが、そこまで色合いは壊れていなさそうです。
写真左上の水が流れ落ちている場所は、とてもキラキラしていて好みです。
このとき近くの橋に住むホームレスさんに観られっぱなしでした。
3枚目は、ピンク色の花。
ややマゼンタ色被りしています。特に写真左側。
フィルムカメラを始めてからよく花を撮影するけど、みなさんどうやって花の名前を調べますか?
私は「ピンク 夏 花」みたいにGoogle検索していますけど、できれば小さいお花図鑑を手許に置きたいですね。
そして結局これらの花は何なのか、謎のままです。
4枚目は、線路と青空。
粒状性が悪いかつ光量が足りていない状況下でも、線路部分がなんとか写っています。
「よく頑張ったで賞」に相応しい一枚。
5枚目は、田んぼと山と青空。
肉眼ではもっと眩しかったけど、ちょうど良い写真になりました。
期限内で撮影していたら、空は白飛びしていたかもしれない。
1段明るめでスナップ用に使用可能
次に、フィルムをMamiya35 Rubyに入れ替えて、ISO感度を800から400に変更。
少し明るめに撮影します。
※この写真ではたまたま200の設定
1枚目は、コンクリの壁と黄色い花。
露光時間:1/500秒
本当はオレンジ色なのですが、やや明るく黄色っぽく写りました。
そしてコントラストは高め。
背景の石垣や草の質感も含め、不思議な雰囲気の写真になりました。
2枚目は、枯れつつある紫陽花。
露光時間:1/500秒
散り際の紫陽花は、レトロなピンク色になるので写真映えしますね。
背景は日陰だったのでかなり暗くなったのと、やはりコントラストは高め。
撮影時は、対角線上(右上から左下)に紫陽花が並ぶように意識しました。
左上に文字を入れることを考えていたのです。
3枚目は、雨降る夜の交差点。
露光時間:1/4秒
カメラを電柱に押し付けて撮りました。
色合いは問題なさそうです。濡れた路面の反射がカラフルで良い感じ。
4枚目は、ハイキングコースからの遠景。
露光時間:1/500秒
神奈川県の山のほうにある住宅地に、ハイキングコースがあったので行ってみました。
空は白飛びしていないけど、やや彩度は低めな気がします。
5枚目は、逆光でのもみじ。
露光時間:1/500秒
4枚目と同様、ハイキングコースで見つけたもみじ。
やっぱり葉っぱの透明感を写すのが大好きです。
フィルム1本につき毎回1枚は撮っているかも。
6枚目は、工事現場。
露光時間:1/500秒
日が差したおかげでくっきりと写りました。
青と黄色(と混色の緑)の割合が多く、アーノルド・ローベルの絵本のようです。
1段明るめに撮ることで、粒状性は悪いけれど色合いの劣化はそこまで気になりません。
スナップ用だったり、カメラ修理後のトライアル撮影用には十分使えると思いました。
退屈しない人生を共に
コニカのフィルムは期限が切れてからの劣化が早いと見聞きしていました。
そのため今回の撮影結果は予想外に良く、驚いているところです。
しかしながら運よく劣化具合がマシだっただけなので、期限切れのフィルムやレンズ付きフィルムを買う際は、写らないリスクを考慮するべきです。
最近はフリマアプリで何年も期限の切れたフィルムが、1本1000円以上で売られていることがあり大変不快ですね。
富士フイルムの「写ルンです」を使った同様の実験は、以下の記事をどうぞ。
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