【写真作例付き】RICOH 500 DeLuxe 修理記録:フォーカスノブ不動の解消とナチュラ1600相当フィルムでの撮影

【写真作例付き】RICOH 500 DeLuxe 修理記録:フォーカスノブ不動の解消とナチュラ1600相当フィルムでの撮影

こんばんは、慧です。

前回修理したRICOH35に続き、レンズがF2.4に明るくなった「RICOH 500 DeLuxe」を修理しました。

RICOH35特有の左右非対称な外観は無くなったけど、内部はかなり類似しています。

使い勝手も以前と同じく良好。

テスト撮影も問題無かったので、常用カメラの仲間入りです。

RICOH 500 DeLuxeの特徴

RICOH 500 DeLuxeは、1950年代に発売されたリコーのレンジファインダー機シリーズの中でも、かなり後半に登場したカメラです。

ここでいう「シリーズ」は、私が勝手に分類している「トリガー巻き上げ方式を採用したリコー一連のカメラ」のこと。

このシリーズでは、レンズやシャッターの性能が少しずつ向上し、同時に販売価格も上がっていきました。

そこで価格を抑えるためにレンズをF2.4に留めたカメラが、このRICOH 500 DeLuxeになります。

ピントリング、露出設定のための諸々のリングが全て金属製で、価格を抑えつつも高級感があります。

ちなみに「RICOH 519 DeLuxe」がこのシリーズでは最高級クラスです。既にジャンク品を入手済みですが、修理は最後まで温めておきましょう。

今回の500DeLuxeは、シャッターやフォーカスノブなど不動な箇所が多かったのですが、不幸中の幸いレンズだけは非常に綺麗な状態でした。

下の写真はクリーナーで清掃した後の様子。

レンズ(F2.4)は日東光学製で、他のRICOH35(F3.5)や519DeLuxe(F1.9)の富岡光学製と異なっており、コストダウンのためなのか、レンズ口径のためなのか理由は分かりません。

リコーワイド(F2.4)という同時期のカメラも日東光学製なので、レンズの品揃えの問題なのでしょうか。

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修理:不動箇所多数

今回入手したRICOH 500 DeLuxeは前述したとおり、シャッターフォーカスノブ(ヘリコイド部)に不具合がありました。

奇跡的に綺麗なレンズを活かすためにも、何とか復活させなければならない。

不具合1:フォーカスノブ不動

まず、ピントを合わせるためのフォーカスノブがぴくりとも動きませんでした。

過剰な力を入れて動かしてしまうと部品を痛めてしまうので、少し観察した後すぐに分解しました。

上の写真はフォーカスノブの動きを止めてしまっているヘリコイドの部分です。

ここに塗布されているグリスが経年劣化で固着してしまっています。

対応はシンプルで、アルコールで清掃した後に新たにグリスを塗布してあげるだけです。

不具合2:低速側シャッター不動

次はシャッターです。

シャッターの不調と言えば、スローガバナーやシャッター羽が汚れて低速側のシャッタースピードがおかしくなるというもの。

今回はそれに加え、バルブ制御のための部品の動きが非常に悪くなっていました。

シャッタースピード(低速側)の遅延については、写真左のスローガバナーを洗浄してあげることで復活しました。(シャッター羽もクリーニングします)

一方で、写真右のバルブ制御の部分は何度清掃しても、動きがよくなりません。(バルブ状態を維持できない)

本来はバネの弾性力のみでスムーズに動くべき部品ですが、奥の部品との摩擦が大きいせいか手動でないと動きません。

そこで非推奨ですが、部品にやや手前側へ力を加えてわずかに変形させました。

きっとより良い修理方法があるに違いない。

作例:撮影の捗るカメラです

修理後のテスト撮影で使ったフィルムはナチュラ1600同等品で、4年だけ期限切れしています。

撮影時の露出設定はISO感度400としています。

それでは作例を紹介します。

 

1枚目は、夕刻の電線に集まる鳥。

F値:16
露光時間:1/100秒

粒状性の悪いなか、ちゃんと鳥にピントがあっていることが分かります。

 

2枚目は、夕刻の川。

F値:4.0
露光時間:1/500秒

先の電線のそばにある川。

非常に浅い川なので所々大きな石が水面から露出しています。その上にカメラを置いてパシャリ。

 

3枚目は、10月の紫陽花。

F値:5.6
露光時間:1/500秒

撮影時期は10月上旬。周りの紫陽花が枯れて散っているなか、一輪だけ咲き遅れている。

かなりくっきり写るレンズのようです。

 

4枚目は、金木犀。

F値:2.4
露光時間:1/500秒

このレンズの最大開放時の写真。

背景のボケは完全な丸ではないけど、つぶつぶ感がありますね。

 

5枚目は、バーのネオンライト。

F値:2.4
露光時間:1/25秒

通っていた幼稚園の近くにあるバー。

ネオンの光がやさしく写りますね。

  

6枚目は、ラーメン屋の提灯。

F値:4.0
露光時間:1/2秒

三脚で撮影しました。

ラティテュードの広いフィルムなので背景は黒潰れせず。

そして光は拡がり過ぎずちょうど良い。

 

7枚目は、逆光下の白い花。

F値:2.4
露光時間:1/500秒

最大開放時に狙いの位置(白い花)にここまでピントが合っていれば、距離計は問題なさそうです。

風が吹いていなければ、もっとくっきりしていたかもしれない。

そしてゴースト(虹色の輪)が丁度良い場所に出現してくれました。

 

8枚目は、逆光下の猫じゃらし。

F値:5.6
露光時間:1/250秒

猫じゃらし以外にも、左側の草も光に縁どられていて綺麗。

それにしても粒状性が悪い。

 

9枚目は、夕刻の電線と雲。

F値:5.6
露光時間:1/500秒

他の写真に比べて、実際に見た景色よりも青紫色成分が増しました。

これがナチュラの色味なのかも。

デジカメで撮った写真と比べると一目瞭然。

RICOH GRⅢx (Image control:Positive film)

 

修理した箇所の動作は好調で、好みの写真をたくさん撮ることができました。

さらにトリガー巻き上げ方式が楽しいおかげで撮影が捗ります。

言葉だけではどうしてもうまく伝わりませんが、巻き上げがとにかく気持ちが良いのです。

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退屈しない人生を共に

1950年代のリコーのレンジファインダー機を、ゆっくり時間をかけてコンプリートしたい気分になってきました。

別のメーカーのカメラを対象にしてZINE(自費出版本)のような本を作っている方もおられるので、勝手に私はリコーを担当しようと考えたりしています。

しばらくRICOH 500 DeLuxeでの撮影を楽しんだら、次の機種を修理してみよう。

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