こんばんは、慧です。
カメラ屋さんから聞くところによると、フィルムカメラ初心者に大人気なのがこのKonica C35だそうです。
電池交換式なのが少し面倒だなと思っていたのですが、フォーカスは二重像合致式の距離計連動で、露出は完全オートという使い勝手の良さを知り、ついつい手を出してしまいました。
遮光材であるモルトがかなり傷んでいて、その部分の補修にかなり時間がかかりました。
Konica C35の特徴(露出計)
Konica C35は1968年発売のコンパクトカメラ。
「ジャーニーコニカ」の愛称で呼ばれていた通り、旅先やお散歩のお供にぴったりな携帯性と操作性が人気の秘密。
電池式の露出計によって露出は自動で決まり、二重像を合わせるだけでピントもばっちり決まるので、とにかく操作は簡単。
露出計には水銀電池であるMR44を使うのですが、現在では環境影響のため市場にはありません。
代わりにLR44というボタン電池を使います。こちらは容易に入手可能。
電池は底面の蓋を開けて、そのまま入れることができます。
レンズの上部に露出計(CdS)があり、下部には感度設定値が表示されています。
ここで一つ注意点があります。
LR44電池はMR44電池より起電力が高いため、狙いのISO感度よりも小さめの値に設定しておきます。
例えば、ISO400のフィルムを使う場合は、レンズ周りのダイヤルを回してISO320等に設定します。
簡単に電池と露出計について触れましたが、Konica C35のことはカメラに関する色々なウェブサイトでも紹介されていて、使用方法には困ることがないと思います。
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不具合1:シャッターの粘り
Konica C35のシャッターにはYashica Half17などと同じ「調速フライホイール」が採用されています。
今回手に入れたジャンク品ももれなくシャッターが粘っていて、大抵このホイールのせいです。
原因:調速フライホイールの汚れ
上述した通り、調速フライホイールの動きを見てみると、やはり粘りがありました。
シャッター羽についてはそこまで汚れていなかったので、ホイールが原因とみて間違いなさそうです。
対策:羽とホイールの清掃
調速フライホイールとシャッター羽を清掃し、ホイールの軸穴には少量のミシンオイルで滑りを良くしておきます。
シャッタースピードはマニュアルで制御できないため、測定はせずにテスト撮影で様子を見ることにしました。
なお、ホイールまで分解したと同時にセルフタイマー機構にもアクセスできるため、そこも清掃しておきます。(右の写真の下部)
不具合2:フィルム室の光漏れ
Konica C35の修理で苦戦したのはフィルム室の光漏れについてです。
テスト撮影前に、古いモルトプレーンは取り除き、新たにフェルトで遮光対策をしましたが、結果は以下の通りです。
コマの端部と中央部で光漏れを起こしています。
原因:遮光材の量不足
考えられる原因は、当然ながら遮光材の量や厚みが足りなかったことが挙げられます。
なお、光漏れを起こした写真はフィルム1本のうち数枚程度の割合で、もしかすると日当たりでの撮影など特定のタイミングで光が漏れている可能性があります。
Konica C35の底面を見てみると、巻き上げボタンの周囲は少し凹んでいて、フィルム室の蓋との間から光が侵入しやすそうな形状になっています。
他には、電池の出し入れをするために電池蓋を開けた時なども少し怪しいです。
対策:遮光材の厚み増し
1回目のテスト撮影の後に、遮光材(フェルト)を追加し厚みを増やしました。
また、電池室からの光漏れも防ぐために、底面の蓋にも遮光対策をしておきます。
以上の対策により、2度目のテスト撮影では光漏れは全く発生しませんでした。
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作例:フォーカス性能は高め
テスト撮影は、光漏れ対策強化の前後で2回実施。
露出計の反応は良好で、フォーカスの精度もかなり高いと感じました。
光漏れ対策前:「写ルンです」フィルム
テスト撮影1回目は、「写ルンです」のISO400フィルムを使いました。期限は5年切れています。
カメラ側のISO設定は320にしています。
露出はオートなので、撮影時のシャッタースピードや絞り値については記載していません。
1枚目は、長崎市の眺め。
とある展望台から見た日没直後の長崎市街地の様子。
この時間帯には夕焼けを撮るために数人のカメラマンが登ってきます。
左側の空と中央やや右側の空に光漏れが生じています。
2枚目は、長崎美術館前の小川。
水面が水彩画のようで綺麗。
Konica C35は画角が38mmでやや広角よりなので、風景撮影に向いていますね。
光漏れは無さそうです。
3枚目は、民家の猫。
小さめの猫が玄関前で門番しています。
長崎はとにかく猫が多いです。
4枚目は、ビンのごみ置き場。
盛大に光漏れしていますが、写りは非常に良いです。
光漏れ対策後:Natura1600
1回目のテスト撮影では光漏れを起こしていたので、遮光対策をしっかり行い2回目のテスト撮影へ。
フィルムはNatura1600ですが、こちらも「写ルンです」から抜き取ったもの。6年の期限切れ。
カメラ側のISO設定は400です。
5枚目は、オトメツバキ。
やや逆光環境でしたが、高感度フィルムの実力を信じて撮りました。
影の部分もしっかり写っています。
6枚目は、工場の屋外階段。
この程度の距離の風景ならフォーカスを無限遠に合わせておけば良いので、撮影が非常に捗ります。
本当に楽。
7枚目は、林。
画角が広いので、縦構図もダイナミックな写りになりますね。
8枚目は、梅の花。
最近接距離は1.0mで、この作例のような写りになります。
桜や紫陽花のような花見シーズンにも活躍できそうですね。
退屈しない人生を共に
初のKonica C35の修理・テスト撮影をしました。
外装はボルドー色のスウェードの豚革を貼っています。非常に手触りが良いです。
ちなみに革を使うのも初めて。
そして今回一番苦労したのが遮光対策です。
遮光材(モルトプレーン)は実は市販されていて、そちらに頼る方法もありました。(たしか3台分で700円)
今は劣化しづらいフェルトを使うとして、何かの縁でKonica C35シリーズを3台仕上げることになったら買ってみようと思います。
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