こんばんは、慧です。
カメラ修理にデビューした2年ほど前に、オリンパスのハーフカメラを修理しました。
それがPEN-EEとPEN-EES。
しかし当時はTRIP35の撮影にハマっていたので、なかなかこれらのテスト撮影ができず置物になっていました。
今回はついにACROS100で撮影してきたので、作例を紹介することができます。
現像データ
今後の自家現像生活のためにも、現像に関わる条件はなるべく記録していこうと思います。
まず、使ったカメラはオリンパスのハーフカメラ「PEN-EE」(左)と「PEN-EES」(右)です。
そしてフィルムは「NEOPAN ACROS 100」の4年期限切れ品。現行ではACROS 100Ⅱがありますね。
撮影時の露出設定は、そのままのISO感度100にしています。
現像条件
以下のフローは典型的なモノクロフィルムの現像工程となります。
初回は「0.準備」で薬剤の作成がありますが、次回以降は使い回すので一度作ってしまえばしばらくは省略可能です。
使った現像タンクはパターソンのもの。ブローニーは1本まで、135フィルムは同時に2本まで処理可能。
そして、各工程での具体的な条件は下表の通りです。(スマホで表示する場合は横向きがおすすめ)
工程 | 薬剤 | 処理時間 | 撹拌条件 |
1. 現像 | ミクロファイン原液※1 (疲労度 1.8本/L) | 7min(24.8℃) | 最初の1minは連続撹拌 その後、5sec撹拌+55sec放置の繰り返し |
2. 停止 | クエン酸水溶液※2 | 1min | 連続撹拌 |
3. 定着 | スーパーフジフィックス-L※3 | 10min | 最初の1minは連続撹拌 その後、30sec撹拌+30sec放置の繰り返し |
4. 水洗 | (1)水道水 (2)富士QW※4 (3)水道水 (4)ドライウエル※5 | (1)1min (2)1min (3)5min (4)30sec | (1)連続撹拌 (2)連続撹拌 (3)連続撹拌 (4)連続撹拌 |
5. 乾燥 | – | 6h | 放置 |
薬剤の作成や処理時間、撹拌条件はほとんど仕様通り。
現像時間は、液温24.8℃で7分としました。仕様は24℃で7分なので、現像液の劣化分を少しだけ温度で補っています。
一般的に、現像液の排液完了までを現像時間とするようです。従って規定の時間の15秒前から排液し始めます。
なお、こちらのフィルムガイドに公式の現像情報の記載があります。
以下に使用した薬剤のリンクをまとめておきます。(表中の※に対応)
※1. 現像液:ミクロファイン
※2. 停止液:クエン酸
※3. 定着液:スーパーフジフィックスL
※4. 水洗促進剤:富士QW
※5. 速乾剤:ドライウエル
自家スキャン結果と現像液の状態チェック
今回の撮影では、ミクロファインの現像液のチェックも兼ねています。
というのも、前回のILFORDのフィルムを現像したとき、同じミクロファインを使ったのだけど、ネガに謎の斑点が生じました。(以下記事)
その原因が現像液にあるのかどうかを知りたかったのです。
さて、ライトで透かしてGR3x(デジカメ)で撮影したものを、白黒反転した画像が以下になります。
こちらはPEN-EEで撮ったコマ。
こちらはPEN-EESで撮ったコマ。
懸念していた現像液の劣化は特に目立たず、謎の斑点もありませんでした。
ネガは専用のファイルがあるので、外注現像とは区別して保管しています。
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作例:使いやすく写りも良い
今回の撮影では、前述したミクロファインの現像液のチェックに加え、PEN-EEとPEN-EESのテスト、ACROS100の劣化具合のチェック、の3項目が目的です。
ネガの写真を見る限りフィルムの劣化も目立たず、カメラの状態がしっかり確認できそうです。
Olympus PEN-EE
まずはPEN-EEです。
パンフォーカスではあるけれど、屋内や日没直後などの暗い環境だとF3.5まで自動で開放します。
そのため、そのような環境ではややピントの合う範囲が狭くなります。
なおシャッタースピードは1/60秒で固定。
1枚目は、廃材と一斗缶。
日陰での撮影。
手前の一斗缶はレンズから1.2m程度の位置にあり、ややボケかかっている印象。
奥の棒の資材にはピントがしっかり合っているように見えます。
2枚目は、フェンスとサッカーボール。
晴れた日の撮影。
サッカーボールは1.5m程度の距離。
奥のフェンスも含み、広い範囲でピントが合っています。
明るい環境では近寄りすぎなければ、どこにでもゆるくピントが合うので撮りやすい。
3枚目は、フェンスと花。
雨の日の近接写真。
花とフェンスは1.0mあたり。ピントが合っているとは言えなくなってきました。
奥のトタン状の壁にピントが合っています。
1.5~2.0mあたりが丁度よいのかも。
4枚目は、雨の日の公園。
同じく雨の日。
1.5mにボルダリングの遊具。
奥にある滑り台がおおよそ4~5m程度。
ピントが合っているのは1.5~3mくらいでしょうか。
5枚目は、乙女椿。
PEN-EE最後の写真は、晴れた日の乙女椿。
左上の空と葉っぱがふんわりしていたり、乙女椿の花弁の形がしっかり写っていたりと、やわらかさと鋭さが共存しているような一枚になりました。
PEN-EE、安いのに良い写りです。
Olympus PEN-EES
次はPEN-EES。
PEN-EEがパワーアップしたカメラ。
シャッタースピードは1/40秒と1/200秒で自動で切り替わるようになり、絞りも開放2.8まで幅が広がりました。
加えてパンフォーカスから3水準(1.2m、3.0m、15m)のゾーンフォーカスになり、ピントの合う位置を自分で調節できます。
6枚目は、逆光下の草花。
正面の花を1.2mで撮影。
背景の光がきらきらしていたり、葉脈が見えたりと楽しい写真になりました。
7枚目は、マンションの受水槽。
3.0mでスチームパンクな雰囲気を持った一枚。
メーターとか配管とかってモノクロ写真と相性が良いですね。
本当はもっと入り組んだ被写体を探したい。
8枚目は、カーテンと洗濯バサミ。
中央の洗濯バサミまで3.0m。
そこそこくっきり写りました。
暗部の諧調も豊かです。
9枚目は、駅のホーム。
15m指標で撮りました。
中央の女の子の存在が物語性を生んでくれています。
そして姿勢が良い。
10枚目は、猫。
1.5m先の猫。
この猫は中々逃げない個体なので、見かけたら安心して撮影に挑めます。
実際の色も白黒なので、写りも予想しやすい。
PEN-EESはEEに比べ、より一層狙いを定めて撮影するのに適しています。
フリマアプリ上ではジャンク品が投げ売りされていますが、きちんと修理してあげると長く遊ぶことができるお得なカメラ。
そしてACROS100の写りも良いですね。粒状性が細かく、品質も安心。再販が望まれたわけですね。
退屈しない人生を共に
修理してから2年経ち、ようやくPEN-EEとPEN-EESのテスト撮影をしました。
ACROS100の品質の高さもあり、写りの良さに驚きでした。
ジャンク品ならかなり安く手に入れることができるので、綺麗に仕上がったカメラをプレゼントするのも面白そうです。
旧Twitterで”良質”なフォロワーが100人を超えたら、プレゼント企画をやってみたい。
100人の次は250人、その次は500人、1000人と、シャッタースピードの指標に数値を合わせてみよう。
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