こんばんは、慧です。
今回はオルソクロマティックという特殊なモノクロフィルム「ILFORD ORTHO PLUS」を、ミクロファイン現像液で現像してみました。
ミクロファインでの現像データが見つからなかったため、現像時の温度と時間は勘で設定しました。
その結果、12枚中9枚に謎の斑点が発生し、失敗に終わりました。
と言っても、写っているものがはっきりと識別できたのは不幸中の幸い。
現像データ
今後の自家現像生活のためにも、現像に関わる条件はなるべく記録していこうと思います。
まず、使ったカメラは二眼レフのMinolta AUTOCORDです。
そしてフィルムは「ILFORD ORTHO PLUS(ISO80)」の1年期限切れ品。
「ORTHO」とはオルソクロマティックのことで、赤い色(光)に感度を持たない特性のこと。
つまり赤いリンゴを撮ると、リンゴは黒く写ります。
このような特性を利用すれば、例えば日本の国旗、救急車のように赤と白で構成される被写体は、かなりコントラストの高い写真になります。
人の肌も赤味があるので、通常の「パンクロマティック」で撮るよりもリアルな写真が撮れるかもしれません。
現像条件
以下のフローは典型的なモノクロフィルムの現像工程となります。
初回は「0.準備」で薬剤の作成がありますが、次回以降は使い回すので一度作ってしまえばしばらくは省略可能です。
使った現像タンクはパターソンのもの。ブローニーは1本まで、135フィルムは同時に2本まで処理可能。
そして、各工程での具体的な条件は下表の通りです。(スマホで表示する場合は横向きがおすすめ)
工程 | 薬剤 | 処理時間 | 撹拌条件 |
1. 現像 | ミクロファイン原液※1 (疲労度 1.3本/L) | 9min(20.0℃) | 最初の1minは連続撹拌 その後、5sec撹拌+55sec放置の繰り返し |
2. 停止 | クエン酸水溶液※2 | 1min | 連続撹拌 |
3. 定着 | スーパーフジフィックス-L※3 | 8min | 最初の1minは連続撹拌 その後、30sec撹拌+30sec放置の繰り返し |
4. 水洗 | (1)水道水 (2)富士QW※4 (3)水道水 (4)ドライウエル※5 | (1)1min (2)1min (3)5min (4)30sec | (1)連続撹拌 (2)連続撹拌 (3)連続撹拌 (4)連続撹拌 |
5. 乾燥 | – | 6h | 放置 |
薬剤の作成や処理時間、撹拌条件はほとんど仕様通り。
現像時間は、液温20.0℃で9分としました。(勘)
一般的に、現像液の排液完了までを現像時間とするようです。従って規定の時間の15秒前から排液し始めます。
なお、こちらのフィルムガイドに公式の現像情報の記載があります。
以下に使用した薬剤のリンクをまとめておきます。(表中の※に対応)
※1. 現像液:ミクロファイン
※2. 停止液:クエン酸
※3. 定着液:スーパーフジフィックスL
※4. 水洗促進剤:富士QW
※5. 速乾剤:ドライウエル
自家スキャン結果(異常斑点の発生)
ライトで透かしてGRⅢx(デジカメ)で撮影したものを、白黒反転した画像(2コマ分)が以下になります。
全12コマの内、1~9枚目に異常な斑点が発生していました。(左)
10~12枚目には軽微な斑点がある、または異常は見られませんでした。(右)
原因は分かりませんが、コマの順序に関係した要因が考えられそうです。
例えば、リール内の位置による現像液との接触の差、カメラ内での位置による巻き取り具合の差など。
そもそも期限切れフィルムであるのと、真夏での撮影によるフィルムの劣化もありえます。
同ロットのフィルムで再現実験などしたいところですが、フィルムが手に入らないのでこれ以上追いかけるのは止めておきます。
ネガは専用のファイルがあるので、外注現像とは区別して保管しています。
スポンサーリンク
作例:赤を探す楽しさがある
オルソクロフィルムの特性が伝わるように、デジカメで撮ったカラー写真と並べて紹介します。
なお、デジカメの写真はRICOH GRⅢxのポジモードで撮影。
1枚目は、公園のカラフル遊具。
赤、黄、青の写りの差が分かる一枚。
黄と青は明るく、赤は黒く写っています。
2枚目は、茶色のベンチ。
コントラストはかなり高く、粒状性も細かい。
常用のモノクロフィルムとして使いたくなります。
3枚目は、神社のブランコ。
ブランコにピントを合わせました。
鎖部分がとてもくっきり写っています。
異常な斑点が無ければなぁ。
4枚目は、赤い花。
花弁の部分が赤いので暗めに写りました。
葉っぱのふくらみが特徴的なので、モノクロだとより一層強調されている気がする。
5枚目は、ミニトマト。
熟した赤と、まだ熟していない緑のミニトマトで、やはり明度に差が出ました。
オルソクロで撮ろうと思った時に、真っ先に思いついた被写体。
二眼レフで近接で撮れるトマトを探すのに苦労しました。
6枚目は、ビールケース。
予想通り赤いビールケースが真っ黒に。
7枚目は、招き猫。
今回の一番のお気に入り。
招き猫が大量に飾られている(祀られている?)お寺で撮りました。
このコマには異常斑点が発生しておらず、くっきりこってりした一枚になりました。
全体的に異常斑点が目立って残念ですが、高コントラストでシャープな写りは自分の好み。
さらに撮影中は、赤を探したり、赤と何色を組み合わせようかなど、普段と違う視点も楽しむことができました。
退屈しない人生を共に
Fujiのミクロファインを使ってILFORD ORTHO PLUSを現像してみました。
期限切れフィルムであったこと、真夏での撮影だったことなど、フィルム側に不利が多い条件でしたが、無事に写った(現像できた)写真もありました。
高コントラストで高精細な写りを見せてくれるので、今度は期限内で使ってみたい。
また、この他にもオルソクロマティックのフィルムはあるので、全部試してみようと思います。
コメントを書く