【写真作例付き】Semi Leotax R修理記録:フィルム室のクリーニングをしてT-MAX400とPORTRA400VCでテスト撮影

【写真作例付き】Semi Leotax R修理記録:フィルム室のクリーニングをしてT-MAX400とPORTRA400VCでテスト撮影

こんばんは、慧です。

セミ判カメラの修理はZenobia-Rに続き2台目となります。

蛇腹に穴が開いていなかったので、あとはシャッターとレンズに問題がなければ十分撮影に耐えれます。

ところが今回入手したカメラは、フィルム室内広範囲に錆が発生していました。

画質(フィルム)にも影響を与えるレベルだと判断し、内部のクリーニングに一番時間を費やしました。

残念ながら修理の出来は60点くらいです。

Semi Leotax Rの特徴

レオタックスカメラ(旧・昭和光学精機)というメーカーが製造していたセミ判カメラ。

製造時期は1951年から1955年頃までとされていて、その4年後の1959年に会社は倒産しています。

この時代は多くのカメラメーカーが存在していたので、良いカメラを作っていたとしても(会社としての)体力の差で負けてしまうこともあったのでしょう。

 

レオタックスのセミ判にはいくつか種類があり、Semi Leotax Rは非連動距離計を積んでいる。

個人的に「非連動の距離計を使うなら、目測で頑張りたいと思う」派で、今回はすべて目測で撮影しました。

シャッターはCOPAL製で最速1/300秒、最長で1秒と日常での撮影には十分な機能を持っています。

レンズは東京光学のTOKO 1:3.5 75mmのため、とても優秀な写りが期待できる。

実際、セミ判だけあって粒子感の細かい精細な写真が撮れました。

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不具合:フィルム室内部の劣化

レンズ清掃、シャッターメンテは当然行うとして、この度入手したカメラの一番の問題はフィルム室内の錆でした。

フィルム室内のBefore/After

左の写真が未整備の状態でのフィルム室。

ちょうど露光部の周囲の枠がひどく錆ています。

おまけに左右にある金属ローラーはフィルム搬送時に回転しますが、錆のせいで動きません。

右の写真は、フィルム送りなど撮影に影響しそうな部分を清掃した後の様子。

ローラーは動くようになり、錆によって生じた凹凸もある程度平らに処理しました。

 

おそらく長年空気中の水分に触れることで錆びていったのだと思うけれど、レンズの状態が非常に良かったのは不幸中の幸い。

赤窓の改修

そして上のBefore/Afterの写真でもう一点改良した部分があります。

上の写真では少し見づらいですが、「赤窓」のフィルターが交換されていることに気がつくはずです。

元々のフィルターは汚れていたため、よくある赤シートを切り出して交換しました。

昔の色付きフィルター(シート)は、クリーニング剤やアルコールで色(着色料)が取れてしまうので、まるごと交換するほうが良いでしょう。

シャッターの簡易メンテナンス

最後にシャッターの動作チェックです。

未整備の状態でもシャッターを切ることができましたが、下のグラフの通り、シャッタースピードは設定値から少し遅くなっていました。(灰色の折れ線)

このまま放置すれば冬頃に低速シャッターが切れなくなることが予想されます。

ひとまず今回は応急処置としてスローがバナー部の清掃と注油を行いました。

清掃後、シャッタースピードは無事改善されました。(ピンク色の折れ線)

作例:意外とシャープに写る

今回の撮影は2本のフィルムを使いました。モノクロとカラーネガです。

実は期限が大幅に切れているフィルムがあり、さっさと撮ってしまいたかったのです。

T-MAX 400(14年期限切れ)

まずはKodakの現行モノクロフィルム、T-MAX 400です。

期限切れによる感度劣化を考慮して、ISO感度200で撮影しました。

 

1枚目は、夏のモミジ。

F値:3.5
露光時間:1/300秒

近所のとあるお寺にあるもみじ。

撮影に行くたびに絶妙な光の当たり具合を見せてくれるので、欠かさず撮ります。

 

2枚目は、黒猫。

F値:3.5
露光時間:1/100秒

黒猫までの距離を、自分の腕が何本分かで予想します。

絞り値は最大開放の3.5なので、目測の割にはよく撮れていると思っています。

T-MAXだけあって、猫の毛並みがよく写っている。

 

3枚目は、渋谷の夜景。

F値:5.6
露光時間:1/5秒

ソール・ライター展に行った時の写真。

写真中央にはスクランブル交差点があり、ちょうど人が横断しているところを撮りました。

電光掲示板がかなり明るく写ったおかげで、ハイコントラストな一枚になった。

 

4枚目は、バイク。

F値:5.6
露光時間:1/300秒

ほぼ新品のように見えるバイク。

ブレーキパッドも綺麗だし、タイヤの溝もくっきり。

エンジン回りもツヤツヤしている。

T-MAXで撮る金属は美しいですね。

PORTRA 400VC(15年期限切れ)

次にKodakの廃盤カラーネガ、PORTRA 400VCです。

こちらもISO感度を200にして撮影しています。

 

5枚目は、たんぽぽ。

F値:8.0
露光時間:1/50秒

たんぽぽは根が非常に強いらしいので、このような場所にも咲けるのですね。

背景のオレンジや青のおかげで、フィルムの色の再現具合を確認できます。

15年期限切れの割には色崩れはほとんどしていない。

 

6枚目は、八重桜。

F値:5.6
露光時間:1/100秒

今年4月に撮った曇り空での八重桜。

八重桜は色が濃いので、晴天時よりもこういう曇りの日のほうが面白いかも。

 

7枚目は、電柱。

F値:11
露光時間:1/100秒

このくらいの明るさだとかなり絞ることになるので、ピント合わせは割と簡単。

電柱の造形の細かさに惹かれて毎回撮るけれど、マンネリ化しやすい被写体ですね。

もう少し工夫が必要。

 

8枚目は、乙女椿。

F値:3.5
露光時間:1/25秒
フィルター:ND32

春によく見かける乙女椿。

絞りを3.5にするためにNDフィルターを使用しました。

シャッタースピードが長くなったので、やや手振れの影響が出てしまったように思えます。

色合いは柔らかくて好きです。

Portra 400VCのVCは「vivid color」のはずですが、vividは経年劣化で薄味になってしまったかもしれない。

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退屈しない人生を共に

Semi Leotax Rの修理とテスト撮影を行いました。

レンズ、蛇腹が綺麗で、シャッターも動作したは良いものの、フィルム室の汚染がかなりひどかった。

清掃では取りきれなかった錆もあるし、撮影中にフィルムに付着したと思われるゴミも写真に写ってしまいました。

結果的に満足度の低い作業となりましたが、それでもセミ判の写りの良さは堪能できました。

なお、今回のT-MAX 400の作例は以下の自家現像記録にも掲載しています。参考にご覧ください。

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