こんばんは、慧です。
国産の蛇腹カメラは意外と今でも手に入りやすいですが、どれもブローニーフィルムを使うものばかり。
今回手に入れたジャンク品「Arco35」は国産蛇腹カメラの中では珍しく、35mmフィルムが使えるタイプ。
それだけに留まらずかなりの接写も可能なため、花を撮るのが好きな人には非常におすすめの一台。
Arco(アルコ)35の特徴
Arco 35は1952年にアルコ写真工業が発売した最初で最後のフィルムカメラです。
名前から「35mmフィルム」を使うものと予想できますが、本来の意味は「(フィルム面から)35cmまで寄れる」という接写機能だと思います。
当時の二眼レフカメラやレンジファインダー機だと良くて1m前後までしか寄れないので、35cmというのが如何に圧倒的な接写能力かということが分かりますね。
それの実現のために上の写真の通り蛇腹が使われており、外観も非常に特徴的です。
調べてみると、創業者は「オリジナリティ」にこだわっていたそうです。
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いつもの不具合をいつも通りに
今回のジャンク品もいつも通り「低速シャッターの遅延」と「距離計二重像のずれ」でした。
幸い、生命線であるレンズと蛇腹は非常に綺麗で、すぐに使用可能状態にできそうです。
いつも通りのメンテナンスをして、まずはシャッタースピードの確認を行います。
ちなみにシャッターはSEIKOSHA-RAPIDで最高速「1/500 sec」まで備えており、当時としては高性能です。
下のグラフの通り、メンテ後の低速側シャッタースピードは概ね良好な結果が得られました。
「1/5 sec」がやや早い点が気になりますが、他の設定値が正常なため目をつぶります。
距離計二重像のメンテについては、特筆すべきことは無いため記載を省略します。
作例:やっぱり花を撮るべき
テスト撮影には富士フイルムの記録用カラーフィルム(ISO100)を使いました。
7年の期限切れ品で、そのままISO100前後で撮影しています。
このフィルムは廃盤なので、写りがほぼ同等と言われているフジカラー100が代替品になります。
しかしAmazonでは品薄が続いているようですね。
なお、一部の作例はND32フィルターを使って光量を落とし、絞り開放で撮っています。(下のリンクのフィルターは径が異なります)
それでは作例を紹介していきます。
撮影条件を見ればフィルターの有無がなんとなく分かるかと思います。明るい場面なのにシャッタースピードが遅かったりするので。
1枚目は、滑り台。
露光時間:1/500秒
公園の遊具は原色が使われることが多いので、フィルム固有の色合いが垣間見れます。
どうやらフィルムはそこまで劣化していなさそう。
2枚目は、紅葉と緑葉の狭間。
露光時間:1/25秒
撮影は12月上旬、一部紅葉が始まった葉っぱ。
逆光で葉が透き通っていて綺麗。
3枚目は、もみじ。
露光時間:1/50秒
手前側のもみじにフォーカスを合わせ、最近接距離で撮った一枚。
測っていないけど、フィルム面から35cmでしっかり写る。
4枚目は、夕日。
露光時間:1/100秒
無限遠もしっかり合っていて一安心。
記録用フィルムで撮る空はいつも綺麗。
5枚目は、透き通った川。
露光時間:1/250秒
やっぱり記録用フィルムは淡く写るので非常に好み。
もちろん私がフィルムを始めた時には廃盤になっていた。もっと早くに始めていれば10本パックで買っていたはず。
6枚目は、ジャングルジムから覗くブランコ。
露光時間:1/250秒
ジャングルジムで遊ぶ子供目線で撮った一枚。
ブランコに子供が乗っていたら最高だったかも。
子供が生まれたら必ずリベンジ。
7枚目は、逆光のコスモス。
露光時間:1/50秒
最近接での撮影。色が綺麗なのはもちろんのこと、茎や花びらの描写が好きだし、構図も好き。
従って、写真として好きな一枚。
8枚目は、薄い朱色のバラ科の植物。
露光時間:1/500秒
7枚目同様、圧倒的なボケのおかげで花がぼんやり浮かび上がって見えます。
もう少し絞りを絞った方が、くっきりと写ったかもしれない。
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退屈しない人生を共に
今は無きアルコ写真工業の唯一のカメラ「Arco 35」を修理しテスト撮影しました。
35cmの接写能力を楽しむには、まずは花を撮ってみると良いかもしれません。
特に3月4月は梅や桜など、撮りがいのある植物が多く咲き始める季節。
今度は絞りは開放しすぎずに、無理のないフォーカスで楽しもうと思います。
ところでArco 35の外装には、スエードの豚革を貼りました。正面のArcoのロゴ部分だけは状態が良かったのでそのまま。
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