【写真作例付き】TRI-X400をMARIXのD-76現像液で【自家現像No.005】

【写真作例付き】TRI-X400をMARIXのD-76現像液で【自家現像No.005】

こんばんは、慧です。

前回は専用現像液「T-MAX Developer」をゲットし、T-MAX400の現像に初挑戦しました。

Kodakの中では順番が前後した気がしますが、今回はTri-X400D-76 Developerで現像することにしました。

この組合せは20世紀に最も実施されたと言われるモノクロ現像として有名です。

しかし、純正品は国内で入手困難なため、MARIX社販売の同等品を使用。

現像データ

今後の自家現像生活のためにも、現像に関わる条件はなるべく記録していこうと思います。

まず、カメラはKonica C35Yashica 35の2台です。

そしてフィルムはKodakのモノクロネガ「Tri-X 400」の10年期限切れ品。

今回はデータ化などの費用節約と、カメラのテスト撮影も兼ねて、1本のフィルムを2台のカメラでスワップしました。

撮影時の露出設定は、いずれのカメラもISO感度を200にしてフィルム劣化分等を補っています。

Kodak 白黒フィルム プロフェッショナル用 35mm トライ-X400 36枚 8667073

現像条件

以下のフローは典型的なモノクロフィルムの現像工程となります。

初回は「0.準備」で薬剤の作成がありますが、次回以降は使い回すので一度作ってしまえばしばらくは省略可能です。

T-MAXフィルムの時と同様、「1」の現像液投入前に前水浴(1minの連続撹拌を3回)を行いました。(排液はほとんど無色でした)

使った現像タンクはパターソンのもの。ブローニーは1本まで、135フィルムは同時に2本まで処理可能。

パターソン|PATERSON スーパーシステム4現像タンク ユニバーサルタンクアンドリール PTP115

そして、各工程での具体的な条件は下表の通りです。(スマホで表示する場合は横向きがおすすめ)

工程薬剤処理時間撹拌条件
1. 現像D-76 Developer 原液※1
(疲労度 0本/L)
5.5min(22℃)最初の1minは連続撹拌
その後、5sec撹拌+55sec放置の繰り返し
2. 停止クエン酸水溶液※21min連続撹拌
3. 定着スーパーフジフィックス-L※310min最初の1minは連続撹拌
その後、30sec撹拌+30sec放置の繰り返し
4. 水洗(1)水道水
(2)富士QW※4
(3)水道水
(4)ドライウエル※5
(1)1min
(2)1min
(3)5min
(4)30sec
(1)連続撹拌
(2)連続撹拌
(3)連続撹拌
(4)連続撹拌
5. 乾燥6h放置

薬剤の作成や処理時間、撹拌条件はほとんど仕様通り。

現像時間は、液温22℃で仕様通りの5.5分としました。

一般的に、現像液の排液完了までを現像時間とするようです。従って規定の時間の15秒前から排液し始めます。

 

以下に使用した薬剤のリンクをまとめておきます。(表中の※に対応)

※1. 現像液:D-76 Developer(原液)

D-76 Developerはメルカリを介してMARIXから同等品を購入しました。1000mL分×3袋で1500円です。

もちろん、液の状態ではなく粉末の入ったパックが送られてきます。

現像液の作り方はパックに記載の通りで、初心者の私にも簡単に作れました。

 

※2. 停止液:クエン酸

※3. 定着液:スーパーフジフィックスL

※4. 水洗促進剤:富士QW

富士フイルム FUJIFILM 仕上剤「富士QW」(2L用) QW2LNEW

※5. 速乾剤:ドライウエル

自家スキャン結果

自宅の家庭用プリンターでスキャンして、白黒反転した画像(2コマ分)が以下になります。

ネガ用のスキャンモードが無いため速報値レベルの画質ですが、現像ムラなどの異常は見られませんでした。

スキャンが汚いですが、コントラストははっきりしているし大きな失敗は無さそうです。

 

ネガは専用のファイルがあるので、外注現像とは区別して保管しています。

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作例:滑らかな諧調と粒状感

節約も兼ねて、1本のフィルムを2台のカメラで使い回しました。(多重露光ではありません)

前半はKonica C35、後半はYashica 35での作例を紹介します。

様々な天候、時間帯で撮れたので楽しいテスト撮影でした。

Konica C35 

1枚目は、早朝のバス。

バスの中はかなりごちゃごちゃしているので、陽光が横から射したときの風景が好み。

あまり乗らないバスだからこそ、余計に撮りたくなる一枚。

 

2枚目は、大学の街灯。

通信制の学部に通っているのだけど、この大学の街灯がおしゃれで、なおかつ目の高さにあるから撮りやすい。

暗部は黒潰れしておらず、諧調の高さが垣間見えます。

 

3枚目は、折れた枝。

枝を挟んで上下に明暗が分かれていたので撮ってみました。

Konica C35の最近接距離1.0mで。

 

4枚目は、椿?。

こちらも1.0mの距離でフォーカスした写真。

ちょうど花の部分に光が当たっていたので、かっこよく撮れました。

 

全体を通してKonica C35のくっきりとした写りが魅力的。

このカメラ、誰かにプレゼントするのにぴったりだと思う。

Yashica 35

5枚目は、大学の教室。

F値:1.9
露光時間:1/100秒

空き教室に光が差し込んでいる一枚。

光の周りがふわっとしているのは、もしかするとレンズ劣化のおかげかもしれない。

じっと座っているのは大の苦手だけど、人のいない教室の写真は好き。

 

6枚目は、池と紅葉。

F値:4.0
露光時間:1/100秒

水面の形と底に沈んている紅葉が綺麗に写りました。

水面を静止画で、かつモノクロで見ると面白いのです。

 

7枚目は、変なオブジェ。

F値:2.8
露光時間:1/10秒

大学にあった変なオブジェ。何に使われるのか想像できない。

 

8枚目は、雪だるま3体。

F値:4.0
露光時間:1/500秒

大学のベンチにあった、誰かが作った雪だるま。

この日は東京、神奈川で大雪が降って(と言っても電車は運行するレベル)、あたり一面真っ白になった。

外を歩くと靴の中はだんだんと濡れていくし寒い。のにも関わらず雪だるまを3体も作るなんて、大学生って心が若いね。

 

このYashica 35の撮影は、一度フォーカスリング周り(ヘリコイド)の清掃をした後のテストも兼ねていて、結果ストレスなく操作できたので良かった。

写りは、ボケ方で見るとKonica C35より綺麗かな?と思いました。

なんとなくKonica C35のボケ方は「ブレている」ように見える。

レンズのスペックが全然違うので比較する必要はあまり無いのだけど。

退屈しない人生を共に

MARIX社製のD-76 Developerを使ってTri-X400を自家現像してみました。

Kodak純正のD-76を使ったことがないのですが、処方が同じこともあり今回の結果には大満足です。

さらに10年程度の期限切れでも粒状感はそこまで悪くなかったのも嬉しい。

 

これまで5回分の自家現像をしてきて、ミクロファイン、T-MAX、D-76の3種類を試すことができました。

現像できるフィルムの種類や、組合せが増えていくのがとても楽しいですね。

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