こんばんは、慧です。
2011年初めに出荷終了したフジの高感度モノクロフィルム「NEOPAN1600 Super PRESTO」。
2023年現在では入手が難しいけれど、稀にフリマアプリで見かけることができます。
もちろん世に出回っているSuper Prestoはすべて期限切れ品で、今回撮影した写真も経年劣化の影響を受け、かなり粒状性が荒れていました。
しかし感度は落ちていなさそう。
Super PRESTOとは?
前述した通り、既に生産・出荷が終了している貴重な高感度モノクロフィルム。
ISO100、400、1600と幅広いラインナップがあった富士フイルムのPRESTOシリーズの一つでした。
ISO400であればKodakなどの海外製品で現行品が存在しますが、ISO1600となると代用できるフィルムは無さそうです。
感色性については公式の製品情報によると、オルソパンクロマチックとあります。
これは赤に感度の無いオルソクロと、可視光全域に感度を持つパンクロの中間の特性を持つもの。
つまり、赤への感度が青や緑よりも低め。
実は撮影後にそのことに気がついたので、特に赤を意識せずに撮影してまいりました。
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作例:粗いが暗部の諧調は豊か
使うフィルムは20年前に期限の切れた骨董品。
36枚撮りなので、画質が崩壊していたときのショックは計り知れない。が、何とか写ったので一安心。
今回の作例は先の写真にあるRICOH 500 DeLuxeというカメラで撮影。
F2.4まで開放することができ、加えてNDフィルターを使えば日中に開放を使うことができます。
感度補正による画質の違い
せっかくの高感度ですが期限切れ品を使う以上、感度劣化を補うためにいくらか光量を増やして撮影するので、ISO1600での実力を味わうことはできません。
そしてその感度劣化具合を把握するため、ワンシーンのみISO1600、800、400の3段階で撮影してみました。
上の比較写真はEV=9程度(例:明るい室内)の環境で撮り比べたもので、意外にも補正無しのISO1600でも観るに耐える写真となりました。
感度を上げるにつれ暗部は明るくなりますが、粒状性はほんのり粗くなっているようにも見えます。(どれも粒状性は粗いが)
そして明部(奥の木のあたり)はコントラストが低下しています。
今回入手した20年期限切れ品においては、ISO800と1600での明暗には気になるほどの差はなく、上記の通り粒状性を考慮すればISO800で撮影するのが最適だと思います。
しかし今回は初のSuper PRESTOだったので、以降で紹介する作例はすべてISO400で撮影しました。
感度+2段(ISO 400)での撮影結果
前置きが長くなりましたが、ここから作例を8枚紹介します。
どれも明暗のはっきりした写真になりました。
1枚目は、高架橋下の路地裏。
粒状性は粗いけれど、電線や自転車の細かい部分はなんとか見えます。
それにしても路地裏とモノクロは相性が良いですね。ネット上にも作例がたくさんあって、みんな何かに惹かれて撮るのでしょうね。
2枚目は、川と白鳥。
ちょうど白鳥が飛び立つところ。
もっと近くで撮りたかったけれど、飛んで行ってしまった。
3枚目は、境内。
そこまで粗さを感じない一枚。暗部も何とか見えています。
神社とモノクロも合いますね。
4枚目は、二つの蛇口。
河原の公園をお散歩中に発見。
他に遊具が色々あったけど、上手く構図が定まらずに蛇口を撮ることに。
5枚目は、池。
水面はモノクロで撮るのが好き。
波の形が分かりやすくなるのと、液体金属のようで非日常を感じます。
なんとなく粒状性の悪さが目立っていない気がします。
6枚目は、鉄橋。
やや眩しくなった一枚。
今まで何回か別のフィルムで撮った場所。
似たような構図で撮ってしまう癖は直すべきかもしれない。
7枚目は、コスモス。
光の透き通った花弁を開放で撮るために、NDフィルターを使って撮りました。
一部ボケて滲んでいるのも好きなポイント。
8枚目は、雨の日の夜。
今回の撮影で一番のお気に入り。
透明な傘に車のライトが当たるのをずっと待っていました。もちろん傘を持った人が来るのも。
雨で濡れた道が昔の白黒映画みたいで好き。
全体的に粒状感は劣化していたけれど、諧調性は滑らかで感度はそこまでひどく劣化していない印象。
退屈しない人生を共に
20年期限切れのNEOPAN1600 Super PRESTOの作例を紹介しました。
感度不足を懸念して明るい環境での撮影を優先したけれど、次回は8枚目のような暗い場所でも撮っていきたい。
残りのSuper PRESTOは2009年、2012年に期限切れした2本。生産終了直前のロットだと思われます。(今回のものは2003年)
きっと今回よりも粒状性が滑らかな写真が撮れるはず。
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