20代で貧困両親に中古マンションを買うに至った理由と結果

20代で貧困両親に中古マンションを買うに至った理由と結果

こんばんは、慧です。

学校で習う数学と違って、世の中には唯一の正解が存在する問題は少ないのかもしれない。

そのうちの一つが「賃貸か持ち家か」という誰もが直面する議論です。

人それぞれ生活環境や人間関係が異なるので、何が正解かも変わってきます。

本記事では一つの例として、私が20代で両親にマンションを買った理由とその結果を紹介してみます。

これまでの住環境の推移

私が両親の住処としてマンションを買うまでどのような住環境で過ごしていたか、どのような気持ちを抱いていたかを紹介します。

似た境遇の人もいると思いますが、何が最適な解となるかは人それぞれです。

自分ならどのような選択をするのかを考えながら読んでみると良いと思います。

学生生活の終焉と実家からの追放

私の実家は公営住宅(団地)で、幼稚園に入る一年くらい前に引っ越してきました。

入居したての廃墟のように何もない空間で、父親がフローリングを貼っていたときの体に悪そうな匂いを今でも覚えています。

 

同い年の子も何人か同じ団地に住んでいて、「団地あるある」として3号棟の子は明るくて、4号棟の子は真面目、みたいな偏見も小学生の頃から感じたこともあります。

カメラ :TRIP 35
フィルム:写ルンです ISO800(14年期限切れ)

それから大学院の修士課程を出るまではそこに住んでいて、社会人になると同時に実家を追放されることになりました。

両親とバトルをしたわけではなく、公営住宅ならではのルールがあったからです。

 

団地に住んだことのある人なら知っているかもしれませんが、公営住宅に住むには収入の基準を満たしていなければなりません。

例えば「4人世帯なら世帯年収400万円以下」のようなものです。

 

元々収入の低い世帯だったのですが、私が就職したことで世帯収入が増えてしまい、その基準を逸脱してしまったのです。

周りの団地住みの同級生も、社会人になると同時に実家を出ていくか、もしくは家族ごと引っ越すなどして対応していました。

 

実家を追放された私は、会社の集合寮で生活することになります。

夢に見た一人暮らし

新入社員が共同で生活する寮では、玄関も台所もトイレも風呂も共通です。

一人一部屋だったことは不幸中の幸いでしたが、この時如何に自分が集団生活に向いていないかが分かりました。

本来1年間は寮で生活しなければいけないところを4カ月で抜け出し、勝手にアパートを借りて一人暮らしを始めてしまいました。

 

実家に住んでいた時は自分の部屋は無く、父親の吸うタバコの煙が家中に広がり、冬でも網戸にするほど実家暮らしは非常に不快でした。

カメラ :TRIP 35
フィルム:Kodak Gold 400

なるべく父親のいる間は家にいたくなかったのを理由に、バイト先の塾に長居したり、夜中に家に帰るようにしていたのは良い思い出です。

 

アパートを借りて自分好みの机やソファーを置いたり、人を招いて徹夜したり、何年も夢に見ていた「自分の部屋」を満喫しました。

そんな理想のひとり暮らし生活を始めて1年半、実家の給湯器が1年以上壊れたままであることを知ります。

つまりシャワーからお湯が出ないのです。

一人暮らしの終焉とマンション購入

私が暮らしていた1Kのアパートは、最寄り駅へは徒歩20分、会社へは徒歩25分という、やや不便な物件でした。

それでもシャワーからお湯は出るし、エアコンも付いていて、一人暮らしには申し分ない環境です。

 

実家では給湯器が使えず、両親はいつも鍋に水を入れ、コンロの火でお湯を作って体を洗っていたそうです。

当時学生だった弟は、部屋が無いことやシャワーが不便なことを理由に、友達の家を転々と居候していました。

そんな家族の状況を知ってからは、自分だけがこんな快適な環境で生活していて良いのだろうか、と考えることが多くなりました。

 

社会人2年目の冬、あらゆる可能性の中から家族全体の最適解を見つけ出し、中古マンション購入の決断をしました。

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マンション購入はメリット多数

まず第一に優先した事項は、家族が安定した生活ができることです。

冬でも暖かいシャワーを使えること、各自の部屋が与えられること、弟が家に帰ってくること、これらが持続可能であること。

以上をすべて満たすには、私が一人暮らしを終わらせ、家族全員で住む家を用意する必要がありました。

そして偶然売りに出されていた格安中古マンションが、私たち一家の最高のシェルターとなる能力を持っていました。

 

以下がその中古マンションを買うことによって生じた諸々の変化です。

中古マンション購入における生活環境・コストの変化

項目Before
(賃貸アパート)
After
(中古マンション)
変化量
家賃3.2万円4.8万円家賃1.6万円
+光熱費 UP
間取り1K3LDK3部屋 UP
通勤時間徒歩25分
or 自転車10分
徒歩75分
or 自転車30分
20分 UP
(自転車)
稼働率45%90%45ポイント UP

家賃などの出費が増えるのと、通勤時間が多少長くなるのが負担になりますが、他のメリットが大きく許容範囲内です。

なお、私以外の通勤・通学時間は変わりませんでした。

住宅ローンの契約

物件を見つけたのは社会人2年目の1月で、購入が同年3月でした。

内見は母親を連れての一度のみで、ベランダからの景色を見て即決しました。

カメラ :MamiyaFlex Automat B
フィルム:Kodak EKTAR100(5年期限切れ)

価格は1000万円以下で、3LDK(約77㎡)の間取りにしては格安です。

築30年以上経っているので、価格は下げ止まったと見ています。

 

一括では払えないので、生まれて初めて住宅ローンを契約することになりました。

期間は20年で、管理費と固定資産税を含めると月々4.8万円

1Kのアパートに住んでいた時に比べ、家賃は1.5倍になります。

 

その他、一人暮らしから4人暮らしになるので光熱費が上がります。

従って、家賃と光熱費で月々7.3万円ほどになりますが、4人分と考えると驚くほどの安さだと思います。

これなら十分に持続可能と言えるでしょう。

弟の帰還と母の占い

マンション購入後、一番早く住み始めたのは弟でした。

その次に私がアパートから引っ越してきて、最後に両親がのんびり移住してきました。

 

購入後しばらくして母親から、私が買ったマンションの運勢のようなものを占いしてもらったと聞きました。

まず弟にとって最高の住環境であり、私と母親にとっても運勢的に良く、父親のみ前の実家の方が好ましい、という結果でした。

 

偶然だと思っていますが、弟の就職活動は極めて順調に進んだし、私と母親は特に問題なく過ごせています。

古物商の副業をしている父親は、前の実家を倉庫代わりにして毎日楽しそうです。(本業はリストラされていたのだが)

 

そして何といっても、お湯の出るシャワーを家族が楽しんでいるのを見て「いつの時代だよ」と突っ込みたくなるのが幸せでした。

稼働率とコストパフォーマンス

第一優先は家族の生活ですが、私が個人的に気にしていたのは「家の稼働率」です。

家賃など諸々の経費を負担するのは私なので、マンションがより濃厚に活用されているのが望ましいです。(設備投資に近い)

 

アパートで一人暮らしをしていた頃から、払っている家賃分だけ家を活用できていないことが悩みでした。

平日は朝8時から夜9時くらいまで仕事で不在ですし、休日は塾で授業していたり遊びや旅行で出かけていることが多く、家にいる時間がかなり少なかったのです。

 

大雑把に計算すると家にいる時間(稼働率)は45%ほどで、家賃に換算すると1.43万円分しか住んでいません。

つまり、家がただのもの置き場になっている時間(非稼働率)を家賃に換算すると、1.77万円になります。

 

マンションを購入するにあたっては、この非稼働率にかかる費用をなるべく抑えたいと考えていました。

2022年現在、幸いにも私が買ったマンションが家族によって濃厚に活用されており、稼働率は90%を超えています。

下表の通り、非稼働率にかかる費用は4800円で、賃貸暮らしから大幅に改善されました。

中古マンション購入における稼働率の比較

項目Before
(賃貸アパート)
After
(中古マンション)
家賃3.2万円4.8万円
稼働率45%90%
稼働分1.43万円4.32万円
非稼働分1.77万円0.48万円

最高の選択

マンションを買った直後は、この選択が正解だったのかどうかが不安でした。

元々あった奨学金に加え数百万円の不動産ローンを上乗せしたことや、収入源である本業に耐えられなくなってしまう不安などです。

幸か不幸か、残業代で稼げる部署で働いていたおかげで「次の仕事を見つけるまでのボーナスタイム」だと思うことによって、不安から逃れることができました。

 

そして、弟が就職し家を出ていき、さらにコロナ禍になったにも関わらず、毎週のように家族が集まり楽しい時間を過ごせています。

去年は弟が婚約者を家に連れてきたり、私も九州から彼女を召喚したりと、まるで長く住んでいる本当の実家のように機能しているのを見て、マンション購入は自信を持って正解だったと言えます。

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退屈しない人生を共に

20代でマンションを購入し新しい実家にした経緯と結果をお話ししました。

一人暮らしを続ければ、お金はもっと貯まっていたし、かっこいい外車を買っていたかもしれません。
(ポルシェかマスタングが欲しかった)

しかし当時はお金の使い方について色々と考えていた時期で、いかに自分事と家族事にかける出費バランスを最適化するかが課題でした。

「自分で稼いだお金は自分のために使う」ということが、果たして自分の人生や価値観にマッチするのかどうか、この時はっきりと分かった気がします。

きっとこれからも自分の価値観を信じてお金を使っていくのだと思います。

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