こんばんは、慧です。
2022年に10年半勤めた会社を辞めました。円満退職です。
機械設計と品質保証の技術者として働いてきましたが、有限である時間をどう使っていくか見直したところ、これがベストな選択となりました。
今回は私が会社を辞め、技術者も辞めた理由を紹介します。
会社への愚痴は書いていないので、それを期待していた人は心を洗おうね。
スキルアップと成果の両立
私は理系の大学院を修了し、新卒でとある精密機器メーカーに就職しました。
極めて典型的な理系の進路だと思います。
高校時代に数学と物理が好きだったので、こういうルートを辿ることになりました。
数学と言ったら理系。理系と言ったらメーカー。メーカーと言ったら技術。技術と言ったらIHI(アイエイチアイ)!
ではなく「技術(者)と言ったらスキル!」となるほど、スキルを身に付けたい欲が強くなります。
しかしスキルという言葉には大きな罠がありました。
会社はお勉強する所ではない
20代のころは、自分が組織に期待している事と、組織が自分に期待していることのギャップが大きかったように思えます。
具体的には、私の場合はメーカーの設計開発部署に配属されたわけなので、当然技術的なスキルアップを望みます。
しかし組織(上司や先輩)はそこまで部下の「スキルアップ」を気にかけてはくれませんでした。
それよりも、「成果」を出せる人材に早急になってもらうことを期待してきます。
よく「うちの会社(もしくは部署)ならスキルが身に付くよ」という勧誘文句を見かけますが、これは完全に餌(罠)ですね。
お恥ずかしいことに当時の私には成果への執着があまりなく、「できないことができるようになった」というスキルアップばかりに意識が向いていました。
しかし組織で働く以上、「組織が掲げる目標を達成すること」に本来集中しなければいけなかったのです。
もちろん目標を達成し成果を作り上げる過程で、個人個人がスキルアップしていくことは大事で、それは組織力の底上げになることは間違いありません。が、あくまでも組織の目標達成が最優先です。
もしスキルアップしたいと感じたら、業務時間外で必要な勉強をすることになると思います。
大きな成果を出している先輩や上司を見てみると、やはりある程度プライベートを犠牲にしているか、残業代が潤沢に用意されている部署に所属しているか、という共通点があります。
「業務時間外にスキルアップしてきてください」とは組織は大きな声では言わないと思いますが、会社は学校ではないことを各自が認識するべきでしょう。
個人的には不本意ですが、組織は業務中、個人のスキルアップを待ってはくれません。
スキルは成果から生まれる
30代になって業務の量や期待される成果のレベルが上がってきました。
そして技術的なスキルよりも、仕事を上手に回すためのスキルの必要性が上がっていきました。
例えば、「成果に直結するテーマの3か年計画の策定方法」「成果に直結しない業務を無心で片付ける力」などがあります。
このようなスキルは仕事を通して身に付けるしかないですし、勉強するようなものでもありません。
その都度、考え込んだり、上司に指摘をされて育っていくスキルです。
いくつか成果を出してみると、「あの場面でああいう工夫をしたから仕事が前に進んだ」という経験値が増えていき、それがそのまま自分のスキルとなっていくように思えます。
20代のころはスキルの存在が先にあって、それを使って成果を出すというイメージをしていました。
しかし実際は逆で、自分の出した成果からスキルが言語化されるのでした。
このことに気付いてからは、身に付けたいスキル、自分が望むスキルアップよりも「どんな成果を出したいか」を軸に仕事と向き合うようになりました。
ところが、「自分の考えた技術を新製品に搭載してシェアNo.1獲得」とか、技術者として成し遂げたい事を考えてみると、自分にはそれが無かったのです。
そうなると、私がメーカーでやるべきことは何も残っておらず、自分の会社生活における(技術者としての)方向性を見失ってしまいました。
「キャリアの方向性を見失った」と正直に上司に報告したところ、かなり困惑したようで明確な返事・アドバイスをもらうことはできませんでした。
その3か月後に退職の意向を示して、元々教職に興味があったことが追い風になり、教育現場で成果を出すために活動することに決めました。
この環境が、私にとって気持ちよく成果を出しつつスキルアップできると信じて。
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成果を出すために必要なこと
「スキルは成果から生まれる論」を支持した場合、如何にして成果を出していくかが最初の課題になります。
おそらく答えは誰もが知っていて、それは「目の前の仕事に集中すること」だと思います。
しかし私も含め、好きでない仕事や興味のない仕事に対しては、その「集中」が持続しないものです。
私の経験を踏まえて、次のような対策が割と効果があるのではと思っています。
どの職種、業界でも適用できる方法なので、成果を出したい人は気持ちを入れ替えて挑戦してみましょう。
失敗を前提に業務に取り掛かる
上司から言われた言葉で「一回で上手くいくなんて思うな」があります。
これは「いきなり良い物が作れるなんてことは無いのだから、失敗した部分や良くないところをしっかり分析して、次に繋げていこう。」という意味です。
こういう気持ちでいると、最初の一歩が踏み出しやすくなります。
さらに、成果を出すまでの過程で多くの失敗をしていたほうが、最終的な成果物の品質はより良くなると思います。
逆に一発で上手くいった成果物はただのまぐれで、そこからスキルは生まれないです。
3STEPで完了する計画を立てる
失敗を前提にしているので、それをリカバリーする時間が必要になります。
一発で仕上げようとするのは、夏休みの最終日に宿題をやる子どもと一緒です。
仕事は「提出したら終わり」とは限りません。
仕事は突き返されるのが当たり前です。
「突き返されたものを直して提出する」を何度も繰り返して、初めて成果物となります。
そこで1回目と2回目で突き返されて、3回目でようやく80点の成果物として提出できるように計画しましょう。
何事も丁寧に
失敗が前提だからといって手を抜いていいわけではありません。
誰かが自分の成果物を使うことを考えて、丁寧に取り組みましょう。
これは仕事もプライベートも何にでも。
退屈しない人生を共に
会社を辞めるまでに10年以上もかかってしまったのは、かなり時間の無駄遣いでした。
あと4年くらい早く決断していれば良かったです。色々事情があったから仕方ないのだけど。
さて、これからたくさんの子供たちに出会うことになって、色んな人生を見ていくと思うと、楽しみで仕方ありません。
ささやかな夢で、私が関わる子供の中から核融合技術者になる子がいればな~と思っています。
自分の子なら尚良し。
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