こんばんは、慧です。
初の16mmフィルムカメラの修理をしました。
今回は修理だけでなく、フィルムを装填する前にフィルム自体に加工する必要があったりと、撮影結果を得るまでに多くの壁がありました。
本記事では修理記録と、試しに行ったフィルムカットの方法、自家現像&スキャンの結果を紹介します。
構造の把握とオーバーホール
このカメラの致命的な不具合は、低速シャッターが粘っている点。
シャッターをメンテすれば最低限の撮影はできますが、中身の構造を理解するついでに各種メンテを行いました。
カメラの特徴は以下の記事で簡単に紹介しています。
ファインダーの清掃
まずは一番簡素なファインダーのメンテをします。
ファインダー部分はモジュールごと取り外し可能で、綺麗な個体から移植することもできます。
しかしこのカメラ自体がやや希少なので、そう簡単に、かつ安く代替品をゲットするのは難しい。
従って、できるところまで分解し清掃することにします。
清掃の前後の見映えが以下の通り。
曇りが少し改善されました。
チャージ機構の観察
シャッター及びスローガバナーにアクセスするため、まずは上面から開けてみます。
上面からは、シャッターチャージ機構全体を見ることができます。
スローガバナーも見えますが、ここからはメンテは難しい様子。
一旦閉じて、別の面からアクセスします。
ちなみに上面からは露出設定用のギア群にもアクセスできますが、特に不具合は無かったので何もしていません。写真も撮り忘れました。
レンズ・スローガバナーのメンテ
次は底面からのアクセスです。同時にレンズ側(前面)のカバーも外します。
ここからはスローガバナーのギア軸が見えるので、ベンジンで洗浄しミシンオイルを注油します。
レンズのクリーニングも行います。ちょっと苦労しました。
レンズの状態は非常に良さそう。
フィルム室の補修
最後にフィルム室の内装を整えます。
オリジナルの遮光材は劣化していたので、黒いフェルトを貼っておきます。
ちょっと厚みはありますが、蓋はなんとか閉まりました。
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16mmフィルムの準備と現像
カメラ本体の修理が終わったら、次はフィルムの用意です。
使うフィルムは16mm幅。
今の110型フィルムと同じですが、Mamiya-16オリジナルのカートリッジに装填し直す必要があります。
そのため、今回は135型(35mm)のフィルムから16mm幅に切り出すことにしました。
現像も専用のリールを新調して自家で行うことに。
35mmフィルムからの切り出し(暗室)
最も単純なやり方で16mmフィルムを切り出します。
幅15mmのステンレス定規をフィルムに押し当て、両側からはみ出たフィルムをカッターで切ります。
約250mm分のフィルムを切り出せば、13~14コマ分は確保できます。
そして切り出したフィルムをMamiya-16のカートリッジに装填します。
これらはすべて暗室で行います。
(上の写真は練習用フィルム)
専用の現像リールに巻き付け(暗室)
撮影後のフィルムは、現像屋さんによっては受け付けてくれますが、今回は自家現像します。
16mmフィルム用の現像リールをMARIX社から販売されているものを使いました。(パターソンの現像タンクと互換性あり)
なお、切り出したフィルムが15mm程度だったので、リールの溝から外れやすかったです。
16mm~17mmを狙って切り出すと良いと思います。
太すぎるとMamiya-16のカートリッジに入りきらなくなるリスクもある。
(上の写真は現像済みフィルム)
作例:自家スキャンで様子見
今回の撮影は、修理後のチェック、切り出しフィルムの巻き上げチェック、16mmフィルムの現像練習など、多くのテストを兼ねています。
使用フィルムは失敗しても痛くない、期限不明のKonica CENTURIA 200(カラーネガ)。
そしてスキャンはデジカメを使い、色合いが崩壊気味だったのでモノクロで画質を補正しました。
1枚目は、洗濯ばさみ。
手前側(上部)の洗濯ばさみにフォーカスを合わせています。
デジカメスキャン時のピントの甘さがやや影響しています。
2枚目は、お酒の瓶。
意外と手振れが気になりません。
かなり静かなシャッターで、反動でカメラが揺れることはあまり無い。
3枚目は、花屋。
3ftなので約1m。目測合わせでもピントは良い感じ。
4枚目は、ブランコ。
いつも撮っているブランコ。
ピントは完璧。
5枚目は、彼岸花。
反り返った細い花びらがしっかり写りました。
6枚目は、電柱。
遠景、と言っても10m程度の距離は無限遠で問題無さそう。
全体的にかなり粒状感が酷いですが、世界で初めてフィルムが誕生したかのような写りが逆に良い。
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退屈しない人生を共に
初の16mmカメラを使っての一番の課題は、やはりフィルムの最適なカット方法を見つけること。
治具を作って手軽に35mmフィルムから切り出せれば、高頻度でこのカメラを使えます。
他にはブローニーフィルムを16mmと44mmにカットして、余ったほうをベスト判のカメラに使う方法もあるそうです。
そしてフィルムはなるべく高精細な低感度フィルムを使うと、良い写りを楽しめそうな気がします。
次回はお店スキャンで本来の写りを見てみたい。
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