こんばんは、慧です。
約1年前に運良くお安くゲットしメンテしたVoigtländer Vitomatic Ⅱaの紹介です。
当時も今も安く手に入れることができないカメラなので、怯えながら分解したのを覚えています。
小柄で丸みのある見た目とは裏腹に、重量は重く堅牢性は高くドイツらしさ満載です。
そして写りも文句無しで、使い過ぎに注意したいところ。
VitomaticⅡaの特徴
Voigtländer Vitomatic(フォクトレンダー ヴィトマチック)Ⅱaは旧西ドイツのフィルムカメラ。
フォクトレンダーと言えば、映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」で主演の小松菜奈が持っていたカメラ「Vito(ヴィト)B」で有名ですね。
従って、日本人男性の95%はフォクトレンダーをご存知かとは思いますが、ヴィトマチックⅡaはそんなヴィトBの上位版です。
まず、二重像合致式の連動距離計、追針式セレン露出計を備えている点は非常に豪華。
シャッターはPRONTOR SLK-VでB,1~1/500sec、絞りはF2.8~22と幅広い環境で撮影が可能。
そしてレンズは、COLOR-SKOPARで焦点距離50mm。(ULTRONというF2.0の大口径レンズを搭載した機種もある)
写りについては作例セクションにて紹介しているので、このレンズの解像力の高さを後ほどご覧ください。
このカメラ、パッと見はコンパクトなのですが、レンズ周りが非常に凝っており特徴的な見た目をしています。そして重いです。(フィルム込みで約800g)
レンズ前面からフォーカスリング、絞り調節リング、シャッタースピード調節リングがあり、数値の刻印も綺麗で高級感が溢れています。
露出計指針は天面だけでなくファインダーからも確認できるため、ファインダーから目を離さずに撮影を楽しむこともできる。
ところで小松菜奈のVito Bは距離計も露出計も無いため、映画内ではフォーカスも露出も勘で合わせていたことになり、フィルムカメラ上級者という隠れたキャラクター設定をほのめかしている。のかもしれない。
最後に、西ドイツを感じさせる刻印が感慨深いです。
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不具合:低速側シャッター不動
さて、今回(2022年3月頃)手に入れたヴィトマチックⅡaはもちろんジャンク品で、シャッター動作に粘りがありました。(1秒設定で5秒など)
加えて距離計の二重像がやや見えづらい。
対策:シャッター清掃
シャッターについてはいつも通り清掃していくのですが、非常にレアな機種の為、分解・組立を繰り返しながら(練習しながら)メンテしました。
最下部にシャッター機構があり、羽には油汚れのようなものが見えます。
本品を修理した約1年前の私の実績は、TRIP35とPENシリーズを何台か修理したことがある程度だったので、壊してしまう前にこれ以上シャッターを分解するのはやめました。
この状態での清掃でもシャッターは動くようになりましたが、以下のグラフに示す通り完全には復旧していません。
特に1秒~1/15秒では20%以上の遅延があります。
しかしながら、ある程度の線形性を保っていることと、低速側の使用頻度を考えて一旦シャッター清掃は終了としました。
その他:距離計二重像の改良
次に距離計の二重像がやや薄いので、ファインダー内部の清掃をしつつ改良を行いました。
具体的には、現像済みのカラーネガ(露光部)を光路上に挟むことで、相対的に二重像を見えやすくする作戦です。(写真右側にある窓部にカラーネガを貼っている)
カラーネガを挟む前後での二重像の見え具合は以下の通り。
全体がオレンジ色になるデメリットはあるけれど、二重像がはっきりと見えるようになりました。
次に修理する機種では青い素材を使ってみたい。
作例:圧倒的高解像力
今回の作例は、期限内のKodak ProImage 100で撮りました。
2022年の途中までは1本900円弱で買えたのに、今では2倍くらい値上がりしていますね。
しかしながら淡く綺麗な色合いが絶妙で、今までがコスパ良すぎたのかも。
1枚目は、河原の猫。
露光時間:1/125秒
河原の野良猫が何だか少し疲れ気味でいるところを撮影。
モデルのようなポージングが良い。
2枚目は、名前の知らない花(ピンク)。
露光時間:1/250秒
コンクリートの隙間から生えている場違いな花。
名前は全く分からないのですが、4月頃に咲くので今度は特徴をもっと記録しておこう。
3枚目は、名前の知らない花(ホワイト)。
露光時間:1/500秒
背景の壁もやや緑色に染まりました。
最近接で撮りました。
4枚目は、近所の桜。
露光時間:1/500秒
桜の花びらに加え、枝の凹凸による陰影が綺麗に写っています。
空の青との組合せもばっちり。
5枚目は、名前の知らない花(イエロー)。
露光時間:1/250秒
日没直前での黄色い花。
そこまで開放で撮っていないけど、背景の橋が遠くにあるおかげで、花の立体感が増しています。
6枚目は、階段とタンポポ。
露光時間:1/500秒
コンクリートからたくましく生える植物が好きかもしれない。
階段のざらざらした質感が良い。
7枚目は、緑のモミジ。
露光時間:1/500秒
やや逆光気味に撮ったもの。
緑色がすごく綺麗。
8枚目は、八重桜。
露光時間:1/60秒
曇りでどんよりした日に撮った八重桜。
にも関わらず、色が鮮やかに写りました。
以前ProImage100をTrip35で使ったときは色が淡かったのですが、ヴィトマチックⅡaで撮った写真を観察してみると、色はより強く、解像度も高く、フィルム本来の実力を垣間見えた気がします。
そして何と言っても、COLOR-SKOPAR(レンズ)の解像力の高さ。
造形の細かい花などを撮るのにぴったりなカメラですね。
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退屈しない人生を共に
Voigtländer Vitomatic Ⅱaの修理記録と、ProImage 100での作例を紹介しました。
ところでカメラと一緒に純正のケースもゲットできたのですが、そのケースが非常に可愛いのです。
全体的に丸みがあって、茶色の艶感もチョコレートのようで可愛らしい。
というわけで、VitomaticⅡaと一緒に長崎彼女にプレゼントしました。
今後、彼女の撮った作例をブログ記事にどんどん掲載していきたいので、フィルムも供給しなきゃ。
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