こんばんは、慧です。
ある日、父親がフリーマーケットで買ってきてくれたジャンクの「ヤシカ リンクス 1000」。
800円だったところを500円に値切ったそうで、送料のかかるフリマアプリでは見かけないお値段。
露出計は壊れて使えないけれど、レンズは多少の拭き傷に目を瞑れば、かなり良好な状態。
フルマニュアル機として活躍できそうです。
Yashica LYNX-1000の特徴
1960年に発売したヤシカ最後のセレン露出計搭載機。それが「ヤシカ リンクス 1000」。
このカメラ以降、ヤシカは電池の必要なCds露出計を採用し、エレクトロシリーズへと発展していきます。
この「ヤシカ リンクス 1000」は、名前の通りシャッターの最高速は1/1000秒。
1/1000秒を実現したカメラは他のメーカーからも登場していて、同年ミノルタからは「Minolta-AL」が、その前年に富士フイルムからは「Fujica 35-SE」で発売されています。
「Fujica 35-SE」がレンズシャッター機で初めて1/1000秒を実現したカメラのようです。
ところで、ヤシカ リンクス 1000は富岡光学製のレンズが搭載されたものと、ズノー光学工業製のものがあるそうです。
見分け方には諸説あったり、真偽が良く分からなかったりするので、気にしないことにします。
いずれにせよ開放F1.8の大口径レンズの写りが楽しみ。
スポンサーリンク
不具合1:シャッター調節不可
今回の500円ジャンク品は、シャッターが調節できない。
調節リングが何かに引っかかったように全く回せない状態。
よって、シャッターの粘りや速度も確認できない。
原因:部品の組み付けミス
通常の使い方ではシャッター調節リング(調速リング)が回せなくなることは稀。
もしかすると前オーナーが分解して壊してしまったのかもしれない。
シャッターを見てみると、案の定おかしな点がありました。
下の写真の赤点線枠の部分は、調速リングを回したときの触感を作り出す機構。
つまりリングを回したときの「カチ、カチ・・・」を作り出す部分です。
その機構の組み付け方にエラーがあり、これにより調速リングが回せなくなっていました。
カチカチを作り出す部品も、そのせいで変形してしまっています。
対策:部品の形状修正と再組み付け
部品が曲がっていただけの破損なので、形状を元に戻し正しく組み直すことで修理は完了です。
赤丸点線の部分が調速リングの内側に接しながら動くようになりました。
この状態でシャッター速度を確認すると、以下のように粘りはなく良好に動いていることが見てとれます。
不具合2:露出計破損など
このカメラの露出計は、なぜか電磁石を載せている台座が壊れていました。
指針の動きも悪かったので、露出計に関係する部品はすべて撤去することにしました。
セレン電池があったところには、光沢のある色紙を挿入。
発電力のありそうな輝きをしているけれど、ただの飾り。
軍艦部には露出計の指針を覗く窓があります。
指針を撤去したので代わりに可愛いシールが見えるようにしました。
これにて修理は完了です。
スポンサーリンク
作例:開放F1.8を堪能
レンズの開放値はF1.8で、これを活かした撮影を目指しました。
使ったフィルムは期限が不明のフジ記録用カラーフィルム。
ISO感度は100のままで撮りました。
1枚目は、夜の駅のホーム。
露光時間:1/1秒
低速側のシャッターの動作確認。
黒いぼやけた縦線はフェンス。
2枚目は、葉っぱと青空。
露光時間:1/60秒
フィルター:ND32
開放で撮るためNDフィルターを使っています。
色鮮やかで、フィルムの劣化は気にならないレベル。
3枚目は、青いホースと蛇口。
露光時間:1/125秒
フィルター:ND32
蛇口にピントを合わせています。
連動距離計も良好です。
4枚目は、昼顔。
露光時間:1/500秒
逆光寄りの写真も問題なし。
くっきりとした写り。
どうせなら1/1000秒で撮れば良かった。
5枚目は、夕焼けとチャイム。
露光時間:1/60秒
無限遠での夕景の撮影。
記録用フィルムと空の相性が抜群。
無限遠調整の結果も問題なさそう。
6枚目は、オレンジコスモス。
露光時間:1/125秒
フィルター:ND32
背景のボケはややグルグルしています。
植物に覆われた写真、好きかもしれない。
7枚目は、実家のランプシェード。
露光時間:1/4秒
フィルムが持つ粒状性の細かさのおかげで、ランプシェードが綺麗に浮かび上がりました。
この実家のランプシェード、貝殻を薄く削り組み合わせて作ったもの。
光が透過する様子が綺麗で、こういう置物を集めたくなります。
8枚目は、実家の台所。
露光時間:1/15秒
10年近く使っていないコンロ、やかん、ポット。
私が両親に新しい家を買ってから、時が止まっている。
全体的にくっきり、シャープに写る印象です。(フィルムの劣化が進んでいなかったおかげでもある)
連動距離計もしっかり機能し、F1.8でも狙いの位置にピントが合ってくれます。
1/1000秒を一度も試さなかったのが唯一の心残り。
退屈しない人生を共に
ヤシカ リンクス 1000の修理を行い、期限不明の記録用カラーフィルムでテスト撮影しました。
フィルムの状態もよく、カメラの動きも好調。
写りはくっきりとしているので、高精細なフィルムの実力を十分引き出してくれそうです。
なぜか今回使わなかった1/1000秒は、また別の機会に試そう。
いつの日か、1/1000秒で撮れるMinolta-ALやFujica 35-SEの同級生比較をしてみたい。
コメントを書く