こんばんは、慧です。
先日、とある使い捨てカメラを偶然入手しました。
富士フイルムやコダックの有名なものではなくて、イベントで手に入るような素性の知れないタイプ。
撮れる枚数は17枚と控えめで、ハーフカメラでの撮影には丁度よい。
そこで今回はこの使い捨てカメラからフィルムを摘出し、2台のOLYMPUS PENシリーズに装填し撮影してきました。
17枚撮りレンズ付きフィルム
「使い捨てカメラ」は広く使われている呼称だけれども、本当は「レンズ付きフィルム」と呼んであげるのがおすすめ。
今回紹介するレンズ付きフィルムは、韓国で開催されたイベントのグッズとして販売されたもの。
そのイベントとは、韓国のエンターテインメント企業「HYBE」が今年6月に開催した韓国アイドルの写真展「HYBE INSIGHT」。
フリマアプリで600円程度で入手
さてこのカメラ、私が現地のイベントに行ってゲットしたわけではありません。
偶然フリマアプリで出品されているのを発見し、1つ600円と安かったので買ってみたという経緯。
イベントでは韓国アイドルのポストカードとカメラがセットで販売されていて、ほとんどの購入者の目的はポストカードだったようです。
故に、おまけ扱いされたカメラが“密かに”フリマアプリに放出されたという話。
“密かに”と言ったのは、このカメラが「タレントグッズ」カテゴリーで出品されており、フィルムカメラユーザーからは発見しづらかったため。
それでも検索キーワードを工夫することで、お安くたくさん購入することができました。
ちなみにこの一件で「スキズ」とか「ペンミ」とか、韓国アイドル関連の語彙が無駄に身に付いた。
中身はKodakのシネマフィルム
このカメラはそもそもどの会社が、何のフィルムで作ったかが分からないもの。
しかしISO感度は200、c-41現像(一般的なカラーネガ現像)が可能ということから、既存のフィルムの中に候補はたくさんありそうです。
その中で注意したいのが特殊な現像方法が要求されるシネマフィルムの存在。
シネマフィルムには通常のフィルムには無いコーティングがされており、それが現像時に現像装置に悪さをすることはかなり有名です。(レムジェット層と呼ばれるカーボン素材の黒色層が現像液を汚染したり)
今回はフィルムの色からわかるように、シネマフィルム特有の黒色のカーボン層は無さそう、もしくは除去されていそうです。(現像屋さんに目視チェックをしてもらうことが必須)
また、X(旧Twitter)上では実際に撮影&現像し、作例を公開している人がいたので、私もサクッと撮影しいつものカメラ屋さんに現像を出しに行きました。
そしてフィルムの正体はトップ画像にもある通り、KODAKのシネマフィルム「VISION3 200T 5213」であることが分かりました。
現像後のネガには「EASTMAN 5213」とあり、以前使った「Cirafilm 200」と同じフィルム。
製造年と思われる「2022」から、期限は切れていないでしょう。
補足として、現像に出す前にフィルムを別のパトローネに避難させ、末端の様子を確認してみました。
元々のパトローネに軟質プラスチックを固定し、それとフィルムが白いテープで接続されています。
乳剤面には最後に巻き上げできなくなるように、スポンジのような物が接着されていました。(机と固定しているのは私が貼ったマスキングテープ)
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作例:日中は青みが強め
17枚撮りのフィルムなので、ハーフカメラでおおよそ34枚分撮ることができます。
ちょうどメンテ済みだけどテスト撮影ができていないオリンパスのハーフカメラPEN-EEとPEN-EE2があったので、フィルムをスワップして17枚ずつ撮りました。
それでは作例を紹介していきます。
OLYMPUS PEN-EE
PEN-EEはISO感度が最大200までしか設定できないので、今回のフィルムを試すのにちょうどよいカメラ。
1枚目は、送水口。
金属のハイライト部に赤っぽく光が滲んでいるのが分かります。
シネマフィルムでよく見かけるハレーションという現象。
2枚目は、近所の花。
1枚目と同様、花のハイライト部にハレーションが見られます。
日陰と日当たりが混在しているけど、バランスよく写ってくれました。
3枚目は、台所。
台所のカオス感ってフィルムと相性が良いなと思っています。
さらに赤、緑、青の鍋やかんが良いアクセントになります。
4枚目は、コスモス。
光が透過したコスモスの花と、画面下の暗部のディテールを見ると、諧調性の広さを感じられます。
5枚目は、葉っぱ。
必ず撮る葉っぱの写真。
逆光なので空が白飛びすると思ったら、しっかり青空と雲が写っているのが嬉しい。
そして相変わらず透明感のある葉っぱが綺麗。
OLYMPUS PEN-EE2
一応紹介すると、PEN-EE2はISO感度が400まで設定できるので、先のEEよりかはフィルムの選択肢が増える。
故に、高感度フィルムを装填すれば、少し薄暗くなってからでも撮影できます。(PEN-EEシリーズは光量不足でシャッターが切れなくなる機能が備わっている)
6枚目は、彼岸花とフェンス。
タングステンフィルムなので葉っぱが青緑色になり綺麗だけど、彼岸花がちょっと低彩度になってしまうかも。
7枚目は、居酒屋の提灯。
このぐらいはっきりした赤いものならよく目立ちますね。
ちなみにPEN-EE2は3~4mあたりで最もピントが合います。
一方、この作例の提灯はカメラおおよそ2~3mの範囲にありますが、十分ピントが合っているように見えます。
8枚目は、公園。
カメラからおおよそ1.5mのところに鉄棒があり、そのあたりからピントが合い始めます。
近すぎると左に写る葉っぱのようにぼやけます。
9枚目は、団地群。
数10m~無限遠に関してもそこそこ。
暗いと絞りが大きくなってボケるかもしれないけど、その前に光量不足で写せないでしょう。
10枚目は、ゴミ(資源)収集車。
割とファインダーから覗いた通りに被写体が収まりました。
退屈しない人生を共に
韓国のイベント「HYBE INSIGHT」で手に入る謎のレンズ付きフィルムについて紹介しました。
17枚撮りでハーフカメラとの相性は抜群で、中身はまさかのタングステンのシネマフィルム。
シネマフィルム特有のカーボン層は除去されており、通常のカラーネガと同じように現像可能。
しかし、外国由来のフィルムであるため、現像を断られているケースも少なくないようです。
ちなみに、今年11月にも同様のイベントが日本国内で開催されるようですが、物販は予定されていないとのこと。
なのでレンズ付きフィルムは出回りそうにないです。
参考に、以下が同じフィルム「VISION3 200T」での作例記事です。
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