こんばんは、慧です。
父親にとあるトイカメラのような見た目のフィルムカメラをもらいました。
beirette(バイレッテ)は初めて聞く名前だけれど、底面には有名な「CARL ZEISS JENA」の文字が。
カール・ツァイスと言えば高級カメラしか製造していないと思い込んでいましたが、こういう庶民的なものも作っていたのです。
あまりトイカメラには興味はないけれど、これは別腹ですね。
beirette vsn2 の特徴
beirette vsn2は、旧東ドイツのCALR ZEISS JENAで作られたフィルムカメラ。ほとんどがプラスチック製の部品で構成されており、トイカメラ感が強い。
「2」の無いbeirette vsnが1974年に登場し、1989年に作られた最終形がこのvsn2です。(vsnはversionの略かも)
1980年代後半に販売されただけあって古さをあまり感じないし、個人的には同世代の日本のプラスチックカメラよりもかっこよく見える。
そして先述した通り、CARL ZEISS JENAのロゴが底面にあり、カメラとしての一定の品質が期待できそうです。
数値上でのスペックは、シャッタースピードがB(バルブ)、1/30、1/60、1/125秒の4段階。
絞りはF2.8からF22なので、高速シャッターが使えない分を絞りでカバーできそうです。
レンズの焦点距離は45mm。スナップ撮影に丁度良いか、やや狭い画角と言えます。
巻き上げレバーは上面右にあり一般的なカメラと同じだけど、シャッターボタンは前面に付いています。
シャッター機構とシャッターボタンの距離を縮めるためでしょうが、この仕組みにより手振れが非常に起きやすい。
ピント合わせは前面のレンズを回します。メートル表記のゾーンフォーカスで、0.6mから無限遠に対応。
ファインダーは簡素だけどクリアで見やすい。
フィルムカウンターはファインダーの横にあり、巻き戻しレバーを上に引っ張ると初期値に戻る。
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不具合:シャッター羽閉じず
このカメラの不具合は、「1/30秒でのシャッターが開きっぱなし」という謎な現象を起こす点。
1/125秒と1/60秒の時はシャッター羽は開閉しているようで、1/30秒だけ羽が正常に動かないのです。
シャッター粘りとは少し雰囲気の異なる挙動で、初見では原因の見当が全くつきません。
「羽が何かに引っかかっている」くらいの予想しかできないので、中を開けてみることにします。
以下の写真が、シャッター機構が見えるところまで分解した様子です。
内部はシンプルな構造で、2枚のシャッター羽を一つのボス(凸部)の動きで開閉する仕組み。
オリンパスのPEN-EEシリーズやTRIP 35とほとんど同じですね。
さて、ここで異常を発見しました。
赤点線で示したシャッター羽の位置を決める部品が、ネジの緩みでガタついていたのです。
そのせいでシャッター羽が開閉するときに、羽全体が定位置からわずかにずれてしまい、羽の一部が別の部品に干渉し止まってしまう。
と言ったところでしょう。
ネジをしっかり締めて1/30秒シャッターを試したところ、シャッター羽は正常に動いてくれました。
なお、レンズは綺麗なので写りには少し期待しています。
作例:意外とくっきり写る
テスト撮影に使ったフィルムは、ジャンクカメラを買ったときに装填されたままになっていたモノクロフィルム。
外観は富士フィルムのNEOPAN SSだけど中身は別物でした。
現像後にネガを見てみると「SAKURA FILM」と「KONIPAN SS」とあります。
一体、いつのフィルムなのでしょうか。
感度補正と手振れの有無の比較
古そうなフィルムだったので、+1段と+2段の明るさで比較用の写真を撮っておきました。
結構変わるものですね。1/60秒で撮ると明るくなるけれど、手振れが顕著に表れていますね。
+1段はやや暗めだけど、このくらいなら暗部が引き締まって良いかもしれない。
ISO感度50で撮った結果
今回は全体的に+1段で撮りました。
カビ痕のようなものがあったけど、何とか写っていて良かった。
1枚目は、つやつやの葉っぱ。
露光時間:1/125秒
手前にピントがずれてしまったようです。
ゾーンフォーカスは難しい。
2枚目は、透ける葉っぱ。
露光時間:1/125秒
ピントが上手くいった一枚。
最近接距離は0.6m。そこそこ近くまで寄れるので、植物を撮るのが楽しくなります。
3枚目は、柿?
露光時間:1/125秒
朝の出勤時に撮った、柿のような実。
葉の黒さと実の白さのコントラストが良いね。
4枚目は、飲み屋通り。
露光時間:1秒(B)
バルブで1秒狙いで撮りました。
蛍光灯周りのぼんやりした感じと、室外機のくっきりした部分が好き。
5枚目は、アパートの廊下。
露光時間:1秒(B)
カビのせいで奥行き、立体感が失われている気がしますね。
意外とくっきりと写っていますが。
6枚目は、小さな実。
露光時間:1/125秒
小さな実にピントを合わせるのは難しいですね。
やはり自分の距離感覚より手前でピントがあっている気がします。
7枚目は、配管群。
露光時間:1/60秒
ピントが合うとかなりシャープ。
配管の質感が伝わってきます。
8枚目は、彼岸花と蝶々。
露光時間:1/125秒
蝶々が止まった瞬間を撮りました。
彼岸花の細かい花弁がくっきり写っているし、背景のボケかたも綺麗。
今回一番のお気に入り。
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退屈しない人生を共に
CARL ZEISS JENAのトイカメラ、beirette vsn2を修理しました。
ピントが合っている部分はくっきりとシャープに写りましたが、なかなかピント合わせが難しいカメラでした。
それでも東ドイツのカメラでの撮影はなんだか楽しく、次回は素性のはっきりしたカラーでもう一度お写ん歩したいところ。
そしてお気づきの人もいると思いますが、横向きでは上側に、縦向きでは右側に光漏れと思われる明線が見えます。
フィルム室の遮光は背面蓋の形状のみでなされているので、モルトなどを追加すると改善されるかもしれない。
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